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 【 家庭でできる応急処置TOP
平成20年11月21日
佐久間文隆 医師       
食べ物による窒息事故
高齢者や乳幼児は注意を

 【事故の現状】食べ物による窒息事故のニュースが後を絶ちません。毎年、全国で高齢者や乳幼児を中心に4000人ほどが亡くなっているのが現状です。厚生労働省の調査では窒息した人のうち、65歳以上の高齢者が8割近く、4歳以下の乳幼児が1割超でした。食品別では高齢者ではもちやパン、ご飯など穀類が大半でした。乳幼児ではあめやだんごなどの菓子類やピーナツが多く、最近はこんにゃくゼリーによる事故の報道が目立っています。食べ物をよくかんで小さくすれば問題ありませんが、高齢者や乳幼児では上下の歯をかみ合わせる力が弱く、大きな塊のまま飲み込み、窒息しやすいといわれています。
 【もしものときは】のどに食べ物を詰まらせ、気道がふさがった状態が3分以上続くと死に至る危険性が高くなります。救急車の到着前に試みるべき応急処置を知っておくとよいと思います。
 ▽背部叩打法…主に乳児が対象で、片腕に子どもをうつぶせに乗せ、頭を約60度下げた状態で背中の肩甲骨の間を平手で4、5回たたきます。口から食べ物が出てきたら取り除きます。
 ▽背部叩打法変法…もう少し大きい幼児の場合、腕ではなく、立てひざに子どものみぞおちを圧迫するように乗せます。
 ▽ハイムリッヒ法(上腹部突き上げ法)…年長の子どもや高齢者に使います。本人の背後から両手で体を締め付け、握り拳を腹部のみぞおち辺りにあてたままで圧迫しながら下から上に突き上げます。そうすると腹部に急速な圧が加わり胸腔内圧を上昇させ、せきに似た効果を生じさせます。口の奥に指を突っ込んで取り出そうとすると、食べ物をさらに押し込んでしまうおそれがあるので避けるべきです。
 【事故防止のために】事故を未然に防ぐには食べやすい大きさにしてよくかむこと、誰かがそばにいてよく見てあげることが大切です。子どもの場合、遊びながらのおやつは注意力が落ちるため、避けた方がよいですし、これからの季節はもちを詰まらせる高齢者が増えますので十分な注意が必要です。
(県医師会員)

 



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