水分摂取や規則的生活
お年寄りによくみられる「せん妄」について説明します。一般には聞きなれない症状ですが、介護をしている方には、身近に起こりうる症状です。
【せん妄の症状】普段は落ち着いて過ごしているのに、突然、人が変わったように興奮して歩き回ったり、訳の分からないことを言って騒いだり、見えないものが見える幻視が起きたりする場合は、「せん妄」が起きていると考えられます。夜に起こりやすく、回復した後には、その間の記憶を失っていることが多くみられます。
【家庭での対応】言葉で説得しても効果はありません。無理やり静かにさせようとすると、よけいに興奮がひどくなります。手を上げそうになったら、その場を離れましょう。そばで家族が見守っていることを知らせ、安心感を与えてください。しばらくは様子をみて、気が紛れるように他の部屋に誘ったり、さりげなく飲み物を勧めるのもいいでしょう。せん妄の症状は、家族の落ち着いた対応によって、そのほとんどが軽くなります。
【取り除ける原因】せん妄の原因はさまざまです。脱水や発熱、下痢、貧血などの体調不良が原因で、せん妄を引き起こすことがあります。睡眠薬や胃潰瘍(かいよう)薬などの薬の副作用で起こる場合もあります。また、環境の変化や悩み事など心理的ストレスが原因になる場合もあります。早めに主治医に相談して、取り除ける原因は取り除くようにしましょう。
【日常生活上の注意点と対策】普段から体の健康状態をチェックしておき、体調不良や水分摂取の不足に注意してください。規則的な生活リズムを保つことも大切です。また、認知症があると、せん妄を合併しやすくなります。介護の専門家に相談して、いざというときどうすれば良いか、話し合っておきましょう。せん妄の症状が強く、家族だけでは対応できない場合や、症状が何日も続くような場合は、主治医または専門医(精神科医など)を受診してください。精神を安定させる薬を出してもらったり、具体的な対応法を聞いてください。
(県医師会員)
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