minyu-net

健康・医療 ホーム 県内ニュース スポーツ 連載 社説 イベント グルメ 購読申込  
 

 【 女性の健康と赤ちゃんTOP
女性の健康と赤ちゃん
渡部晋哉 医師       
【 産科出血 】
女性
母体死亡原因の過半数

  今回は、分娩(ぶんべん)は”命をかけた大事業である”というお話をしたいと思います。現在も県立病院で、帝王切開時の出血で母体死亡に至った症例が話題となっておりますが、このように母体死亡の原因は”産科出血”に起因するものが過半数を占めております。
 では、妊娠してから分娩までにどのような産科出血を起こす疾患があるのでしょうか?@妊娠初期には、子宮外妊娠という疾患があります。これはその名の通り子宮以外の場所、たとえば卵管、卵巣、子宮頸管(けいかん)、腹腔(ふくこう)内などに妊娠することです。子宮外妊娠の発生頻度は全妊娠の0.3〜1.3パーセントで、腹痛を伴いおなかに大出血を起こし、一般的に手術の適応(現在はほとんど腹腔鏡手術)となりますA妊娠中期・末期・分娩時には、常位胎盤早期剥離(はくり)・前置胎盤・弛緩(しかん)出血などの疾患があります。
 常位胎盤早期剥離とは、正常な位置に付着している胎盤が、妊娠中または分娩経過中に赤ちゃんが生まれる前に子宮の壁からはがれ、持続的な腹痛を伴い大出血するもので、全妊婦の0.1パーセント程度で発生し、母体死亡率は1〜2パーセント、赤ちゃんの死亡率は20〜50パーセントと高率です。多くの場合帝王切開が必要です。
 次に、前置胎盤です。子宮の出口に胎盤があるため膣(ちつ)からの分娩が出来ない状態で、帝王切開が必要です。分娩前に子宮口が開いてくると、”水道の蛇口をひねったほどの出血”が一瞬のうちに出ます。
 続いて、分娩後に一番多い弛緩出血です。お産後に子宮のもどり(収縮)が悪いと、やはり大出血を起こします。普通500ミリリットル以上の出血を異常出血と言います。ほとんどの場合、子宮収縮剤の投与や子宮の圧迫で止血されます。
 その他、分娩時の裂傷や血腫(けっしゅ)、子宮破裂などがあります。もちろんこれらはごく一部の方で、ほとんどの方は順調に経過し正常分娩されますので、あまり心配しすぎないでください。
(県医師会員)

 



〒960-8648 福島県福島市柳町4の29
個人情報の取り扱いについてリンクの設定について著作権について

国内外のニュースは共同通信社の配信を受けています。

このサイトに記載された記事及び画像の無断転載を禁じます。copyright(c)  THE FUKUSHIMA MINYU SHIMBUN