母親のダイエットの関係も
生まれた時の赤ちゃんの体重は、その後の発育や健康に大きな影響を与えます。特に小さく生まれてきた場合は、十分なケアが必要です。以前は、2500グラム未満で生まれてきた赤ちゃんは、「未熟児」と呼ばれていましたが、現在は、「低出生体重児」と呼んでいます。なお1500グラム未満を「極低出生体重児」、1000グラム未満は「超低出生体重児」と呼び、いずれも専門医の厳重な管理が必要です。
原因としては、前にお話した「早産」が一番ですが、妊娠週数が進んでもおなかの中の赤ちゃんの発育が悪い「子宮内胎児発育遅延」もあります。この原因には、お母さん(母体側)と赤ちゃん(胎児側)の両方があります。母体側としては、「妊娠高血圧症候群」や心疾患、腎疾患、糖尿病などの合併症、胎盤、臍帯(さいたい)の異常などが挙げられます。胎児側としては、染色体異常や奇形、ウイルスの子宮内感染などがあります。なお遺伝的な体質によるもの(小さなお母さんから生まれた小さな子)で特に異常のない赤ちゃんもいます。
また近年、低出生体重児とお母さんのダイエットの関係が指摘されています。もちろん太りすぎは、よくありませんので、病院では、体重の増加を抑えるよう指導することが、多いのですが、ダイエットに励み、すでにやせている女性が妊娠した場合、いかにも妊婦といった体形を嫌ったり、出産後にすぐスリムに戻りたいと体重の増加を極端に抑えた場合、赤ちゃんの体重が増えず、低出生体重児になる確率が高くなるといわれています。妊娠中の体重増加は、特にやせている人の場合、少なければ少ないほどよいというわけでは、ないのです。
赤ちゃんの発育が悪い場合、また小さい赤ちゃんが生まれてしまった場合、NICUをもつ高次の医療施設へ転院となります。本県では、福島医大に総合周産期センター、会津、中通り、浜通りに地域センター、その周辺に協力施設を置き、産婦人科と小児科の連携で、施設間の搬送を行っています。急に備える意味でも妊娠したら必ずかかりつけのお医者さんを持ってください。
(県医師会員)