皮脂分泌盛んな乳児期特有
湿疹の症状について
生後まもなく(生後数日から2―3週間ごろ)から、赤ちゃんの顔や頭に湿疹が出てくることがしばしばみられます。特に頬(ほお)のあたりに赤いポツポツとした発疹があらわれたり、頭皮や眉(まゆ)の部分に黄色いかさぶたがついているようになったり、また耳のまわりが赤くなって、耳の後ろの部分がジクジクしたりすることがあります。
このような状態を乳児湿疹と呼んでいますが、皮脂が浮き出てくるようになることから脂漏性(しろうせい)湿疹とも呼ばれます。これは赤ちゃんが母親の女性ホルモンの影響を受けているために皮脂の分泌が盛んなためといわれています。こうした状態は乳児期特有で、多くは生後5カ月ごろには良くなっていきます。
アトピー性との違い
じつは乳児湿疹と乳児期のアトピー性皮膚炎の区別は大変むずかしいのです。アトピー性皮膚炎のお子さまの場合は、脂漏性湿疹の状態を経て生後2―3カ月ごろから、湿疹が首や体にも見られるようになり、また腕や下肢の皮膚がカサカサしてきて乾燥傾向が目立つようになってきます。このような状態になると赤ちゃんは、かゆみのために自分で顔をひっかいたり、顔をお母さまの胸などにこすりつけてくるようになります。アトピー性皮膚炎の特徴は皮膚のかゆみと乾燥傾向ですが、そのような特徴が4―6カ月ごろまでに表れてきます。アトピー性皮膚炎と診断するためには、このような特徴ある症状が持続することが条件となりますので、それまではアトピー性皮膚炎と断定することはできないのです。
スキンケアの方法は
乳児期早期の頬や頭の脂漏性湿疹だけであれば、ベビーせっけんで皮膚をきれいにしてあげて保湿剤を使用するといったスキンケアを行うことにより改善しますが、アトピー性皮膚炎になっていくタイプのお子さまの場合はそれだけでは良くなりません。ご両親のどちらかにアトピー性皮膚炎があるとか、アレルギーの傾向があるというような場合は早めに医師に相談して、適切な治療を受けるようにしてください。
(県医師会員)