厳しい環境に生息する動物の睡眠事情は多様だ。水中で眠るイルカは、右と左に分かれている大脳を交互に睡眠状態にすることができるし、マッコウクジラは垂直姿勢で眠ることで知られている
▼ロシアの淡水湖にすむバイカルアザラシは、一風変わった休息を取る。氷が張らない春から秋の時期だと、疲れた体を休める場所がほとんどない。どうしているかというと、息を止めふらふら沈む間、全身の力を抜いて休んでいる(「生きものは不思議」河出書房新社)
▼睡眠は一日の疲れを癒やし、活力を生む大切な時間だ。厚生労働省が推奨する指針は成人が6時間以上、小学生は9~12時間。諸外国と比べて眠る時間が短いと言われている日本人にとって、ストレスなく熟睡できる生活習慣づくりが欠かせない
▼南海トラフ巨大地震の想定震源域内に大きな変化がなく、政府の注意呼びかけが終わった。1週間とはいえ、聞き慣れない「臨時情報」に眠れない夜を過ごした方も、胸をなで下ろしたことだろう
▼とはいえ、30年以内に巨大地震が起きる確率は高い。日頃の備えがあってこそ、安らかな眠りがもたらされる。本県の太平洋沿岸は北海道・三陸沖後発地震注意情報の対象地域だ。