海を漂流し続けるプラスチックや、長期間分解されずに環境中に残る有機フッ素化合物―。手に負えないのは温室効果ガスに限らない。全ては人が便利で快適な生活を追い求め、その恩恵を享受し続けてきたことで生み出してしまった厄介者だ
▼調和が取れていたはずの地球はバランスを崩し、もう後戻りできないところに追い込まれている。人ごとではないはずなのに、その取り組みは少々心もとない。何世代も後までツケを回すことになりかねない
▼誰も望んでいないのに発生してしまった厄介者は、いつまで居座り続けることになるのだろうか。東京電力福島第1原発に残る溶け落ちた核燃料(デブリ)は、1~3号機合わせて推計で約880トンに上る
▼2号機の試験的取り出し作業は、出だしからつまずいてしまった。過酷な環境下の作業が困難を極めることは容易に想像がつく。安全を最優先しなければならないのも分かる。それにしてもだ。入念に準備して臨んだだろうに、なぜ―の疑問が拭えない
▼廃炉に至るまでの長い道のりも、毎日の積み重ねがあってこそ。一日たりとも無為に過ぎることがあってはならない。そんな当たり前のことを、つい口走りたくなってしまった。