国税庁は30日、農林水産物や食品ブランドを保護する国の地理的表示(GI)制度で、新たに南会津町の清酒を指定した。酒類の指定は県内初。関係者が同日、町役場で会見し「南会津の清酒の魅力を国内外に発信していく」と意気込みを示した。
GIは産地名を守ることで、食品などのブランド価値を保護する制度。専用の「GIマーク」を付けて販売できるため、消費者の信頼感を高める効果がある。県内では昭和かすみ草(JA会津よつば)などに続き、7例目。酒類では、原料米の産地や醸造用水、清酒製造場が同一町内にある指定は全国初となった。
南会津の純米酒は、軟水や豪雪環境の影響により、口当たりが柔らかく、すっきりとした後味が特徴。町では「地酒で乾杯条例」が制定されるなど、酒文化の振興に力を入れている。
国権酒造、開当男山酒造、会津酒造、花泉酒造の町内4蔵元でつくる「地理的表示南会津管理協議会」が会見した。細井信浩会長は「消費者に安心して酒を楽しんでもらう契機としたい。酒造りの場所となる、南会津の豊かな自然などの魅力も発信していければ」とあいさつ。渡部正義町長は「南会津の酒文化を発信することで消費拡大につなげたい」と述べた。
会見では、GI南会津マークが披露された。町の国指定重要無形民俗文化財「会津田島祇園祭」の「七行器(ななほかい)行列」や、酒を飲む杯などをイメージした。今後はGIマークを商品に貼付したり、交流サイト(SNS)を活用するなどして情報発信する。10月には東京都で、仙台国税局主催の関連イベントを催す。首都圏から町に人を招いた「蔵見学ツアー」なども検討する。