次期衆院選で自民党公認候補予定者となる福島4区の支部長の吉野正芳元復興相(76)=旧福島5区、8期=が今期限りで政界を引退する意向を固め、近く周囲と具体的な協議に入る見通しであることが2日、複数の関係者への取材で分かった。自民党総裁選(12日告示―27日投開票)など重要な政治日程が控えており、状況が整った段階で月内にも正式表明するとみられる。
吉野氏は体調面の事情から国会を含め政治活動で重要な場に出席する機会が減っており、次期衆院選に向けた対応が焦点となっていた。関係者によると、総裁選後の衆院解散・総選挙の観測が強まる中、体調面も考慮し次期衆院選には出馬せず、政界を退く方向で調整を本格化させるとみられる。現任期を全うする考えは堅持しているという。
吉野氏は2022年12月、小選挙区の区割り変更に伴い、福島4区の支部長に就いた。当初は今年6月の国会会期末を区切りに進退を判断する方針を固めたが、政治情勢の変化などを踏まえて先送りしていた。
吉野氏はいわき市出身で早稲田大商学部卒。県議を経て00年に衆院初当選した。原子力問題調査特別委員長、東日本大震災復興特別委員長などを歴任し、17年4月~18年10月には復興相を務めた。復興庁の設置期限延長を提起したほか、避難者支援拠点の充実に取り組むなど、双葉郡を選挙区に持つ地元議員として本県復興の進展に尽くした。
福島4区、構図が具体化
現職の吉野氏が引退の意向を固めた衆院福島4区を巡っては、自民党内に坂本竜太郎元県議(44)の擁立を模索する動きがある。県連は吉野氏との調整を踏まえ、後継の選定に向けた作業に入るとみられる。
立憲民主党は浜通りの40代の会社役員男性に立候補を要請している。すでに立候補を表明している共産党の熊谷智党いわき・双葉地区委員長(44)も含め、選挙戦に向けた構図が具体化してきた。