内堀雅雄知事は2日の定例記者会見で、2月の火災で全焼した相馬市の松川造船の復旧に要する経費を含む総額26億5500万円の県一般会計9月補正予算案を発表した。欧州を念頭に置いたインバウンド(訪日客)促進事業も新たに打ち出す。17日開会予定の9月定例会に関連議案を提出する。
松川造船の焼失により、本県漁業者の間では本格操業再開への影響を懸念する声が広がっていた。県は工場整備費として1億5000万円を計上し、実際にかかった経費の4分の1を県漁業振興基金を通じて補助する。ほかに相馬市や南相馬市も松川造船の再建を支援する方針を示している。
インバウンド対応では、非常時の対応や食事・入浴マナーといった情報を多言語で伝えるための指さしシートなどを作成。また観光事業者向けにセミナーを開催して翻訳アプリの利用などを促すほか、多言語化やキャッシュレスに対応するマニュアルも整備する。
欧州から本県への旅行者はまだ少ない。内堀知事は7月に現地を訪ねた際、2026年に本県で実施される大型観光企画「デスティネーションキャンペーン(DC)」を前に受け入れ態勢を強化する考えを示していた。
原油価格・物価高騰を受け、県はLPガスを使用する家庭・事業者への支援として販売事業者に値引きに必要な経費を補助する。金額は1契約当たり千円で、8~10月分の支援に充てる。
特別高圧電力を使用する中小企業への電気代補助も再開し、8、9月は1キロワット時当たり2.0円、10月は同1.3円を補助する。補助上限は一般事業者3000万円、発電事業者200万円。国は8月に電気・ガス料金の負担軽減措置を再開したが、LPガス、特別高圧電力は対象外だった。