尊敬する人は―の質問に、バスケットボール女子の日本代表で、ムードメーカーとしてパリ五輪でもチームをもり立てた馬瓜エブリン選手を挙げる。答えたのはパリ・パラリンピックのボッチャ個人戦女子で銅メダルを獲得した遠藤裕美選手(福島市出身)だ
▼日本ボッチャ協会が大会前にインタビューした動画の一こま。同じ競技のメダリストらの名前が出てくるかと思いきや、意外な答えが返ってきた。遠藤選手は「雰囲気を明るくするっていうのは、周りにいる人たちもプラスになって笑顔になるのかなと思う」と理由を語っている
▼試合後の遠藤選手は「時間はかかっても、輝けるものは取れる」とコメントした。遅咲きの競技人生と重ね合わせ、誇らしげに笑った
▼実は練習した分、うまくなるわけではない。障害により前日に投げた感覚は次の日にゼロになる。練習を続けないとその感覚はどんどん戻しづらくなっていくという。こつこつと積み重ねてきた練習の苦労を内にそっとしまった笑顔。エブリン選手を尊敬する理由の一端が垣間見えた
▼ミリ単位の正確さで、究極の頭脳戦を制した遠藤選手。次は団体戦が待っている。すてきな笑顔をまた、パリから届けてください。