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【9月10日付社説】パリ・パラ閉幕/共生の姿を生活に広げたい

09/10 08:05

 健常者、障害者を分け隔てることのない「共生社会」の素晴らしさに共感した人は多いだろう。これをスポーツの世界にとどめず、同じ気持ちと行動で私たちの日常生活に広げていくことが大切だ。

 障害者スポーツの最大の祭典、夏季パラリンピック・パリ大会が閉幕した。無観客だった3年前の東京大会と異なり、各競技会場では観客が大きな歓声と拍手で試合を盛り上げた。励ましに応えるように選手は最大限のパフォーマンスを発揮し、その雄姿は多くの人に感動や勇気をもたらした。

 障害者スポーツの魅力や可能性を強く感じた大会だった。誰もが生きやすい、多様性を尊重した社会を実現させる契機にしたい。

 日本選手は金14個を含む計41個のメダルを獲得した。県勢も車いすラグビーで橋本勝也選手(三春町出身)を擁する日本が初の金メダルに輝いた。ボッチャでは遠藤裕美選手(福島市)が個人、団体ともに銅メダルを獲得した。

 柔道女子48キロ級(全盲)で半谷静香選手(いわき市出身)が準優勝し、4度目の大会で悲願のメダルを手にした。陸上では女子砲丸投げ(上肢障害F46)の斎藤由希子選手(福島市)が4位、同400メートル(視覚障害T13)で佐々木真菜選手(福島市)が7位に入り、それぞれ入賞を果たした。車いすバスケットボール女子では石川優衣選手(郡山市生まれ)が献身的なプレーで日本を7位に導いた。

 懸命な努力と強い精神力で出場を果たし、奮闘した選手に敬意を表したい。家族や友人など、日々の練習から選手を支えている人にも感謝の気持ちでいっぱいだ。

 パラリンピックで活躍する選手に刺激を受け、さまざまな障害がありながらハンデをものともせず、スポーツに取り組む人が少なくない。県内でも3年前の東京大会を契機にボッチャなどの大会や体験会の開催が増えている。

 他県に比べ、障害者スポーツに触れられる機会は多いが、まだ一部に限られる。練習環境の確保や指導者の育成を進め、障害の有無に関係なく、一緒にスポーツを楽しめる場を増やす必要がある。

 今大会で活躍した選手の多くが仕事と競技との両立、練習場や移動手段の確保、経済的な苦労などに直面しているという。

 トップ選手の国際舞台での活躍は障害者スポーツ全体を先導し、底辺拡大などに貢献しているだけに、行政だけでなく、企業や民間団体などの支援や協力は不可欠だ。大きな夢や希望を抱き、努力を続ける選手やチームを支える機運をさらに盛り上げていきたい。

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