白河地方の総鎮守・鹿嶋神社の例大祭「白河提灯(ちょうちん)まつり」は13~15日、福島県白河市の中心市街地で開かれる。通常規模での開催は6年ぶり。まつりは2年に1度の開催だが、新型コロナウイルスの影響で中止と規模縮小が続いていた。完全復活する秋の風物詩を前に、地元の熱が高まっている。
まつりの3日間、中心部にある旧城下町の22町が参加。日中は子どもたちがおはやしなどを披露し、夜は鹿嶋神社の氏子たちが提灯行列を繰り広げる。開催準備は大詰めを迎えており、鹿嶋神社氏子壮者会の会長を務める秋山政信さん(50)は「本番が近づくにつれ、町内のわくわく感が戻ってきた」と語る。
通常開催が見送られていた期間に本来のまつりを知らない子どもたちが増え、地域全体での盛り上がりが課題となった。このため壮者会は6~7月、市内の小学校で出前授業を行い、児童に太鼓のたたき方やみこしの担ぎ方などを教え、祭りの楽しさを伝えた。こうした取り組みが功を奏し、おはやしの練習に参加する子どもたちが増え、地域の機運が高まっていった。
人口減少でみこしの担ぎ手確保にも苦労したが、360年以上続く伝統行事が新型コロナ禍を経て新たな歴史を刻み出す。秋山さんは「一度途切れた伝統文化が再出発する。新たなまつりの一歩となれば若い世代の今後につながるはず」と力を込める。
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白河提灯まつり 隔年で9月に3日間開かれる鹿嶋神社の例大祭。白河藩主本多忠義が1657(明暦3)年にみこしを奉納したことが始まりとされる。旧城下町に当たる市内22町が参加。厳格な武家社会の格式を取り入れているため「儀式まつり」とも呼ばれる。