福島市の誠電社WINDYスタジアム(信夫ケ丘競技場)を発着点に毎年11月に開催されてきた東日本女子駅伝は、今年の第39回大会(11月10日)を最後に終了する。若手育成の役割を果たしたことや人件費、運営費の増加、ボランティア確保の難しさなどを背景に、40年目の節目にその幕を下ろす。主催する東北陸上競技協会と福島テレビが11日、発表した。
大会は中・長距離の女子選手の育成を目的に、1985年に始まった。18都道県の中学生から一般までの代表選手が9区間42.195キロをたすきでつないできた。新型コロナウイルスの影響で2020年の第36回大会は中止し、翌年に開催した。本県チームの最高順位は04年に開かれた第20回大会の準優勝。昨年の第38回大会は3位となり、16大会ぶりの表彰台に立った。
大会は歴史を重ねる中で日本を代表するランナーを送り出した。主な出場選手は【表】の通り。女子マラソンの福士加代子さんや土佐礼子さん、渋井陽子さんら五輪アスリート25人を輩出。今年のパリ五輪で6位入賞した鈴木優花選手(第一生命グループ)も第31、32、34回大会に出場した。
福島テレビの小柴宏幸専務と大会を主管する福島陸協の鈴木浩一会長が11日、県庁で記者会見した。小柴専務は「関係者から惜しむ声が多かったが、苦渋の決断だった。当初の目的を果たし、一定の成果は得られたと考えている」と述べた。
第1回大会から運営などに携わってきた鈴木会長は「世代を超えたランナー、声援を送る県民、支援する関係者の三者が一体となる素晴らしい大会。残念な気持ちと、40年続けてきたという感慨深い思いでいっぱい」と語った。最後の大会に臨む本県チームには「監督やコーチも気持ちが乗ってきている。最高の選手で最高の試合となるよう頑張ってほしい」と期待した。
「トップと実戦、貴重な場」高校生ら惜しむ
東日本女子駅伝が今年で終了することを受け、関係者からは惜しむ声が上がった。若松一中2年だった2021年に第36回大会に出場した学法石川高2年の湯田和未(なごみ)さん(17)は「見るのも走るのも好きな大会だったのでショック。強い選手と戦えて刺激になった」と話した。
学法石川高陸上競技部では出身者も含め、多くの選手が県代表を務めてきた。
松田和宏監督(50)は「『福島』のユニホームを着て走ることが選手の誇りになっていた。トップランナーも多く参加し、実戦経験を積む意味でも貴重な場だった」と残念がった。