いわき市のアクアマリンふくしまの職員が北海道知床羅臼沖で採取した深海魚2種が新種として公表された。8月、ニュージーランドの動物分類学の学術誌に掲載された。
新種とされたのはコンニャクウオ属クサウオ科のイサリビビクニンとトモシビビクニン。同館の松崎浩二展示第1グループリーダーが、2014年8月から21年8月までに地元漁師の協力を得てエビかご漁と刺し網漁で採取した。魚類の分類が専門の甲斐嘉晃京都大准教授と共同で研究した。
クサウオ類は腹に吸盤を持つことが特徴だが、今回の2種は吸盤が退化してほぼ消失しているという。ともに水深500~800メートルに生息し、体長約20センチ。羅臼のイカ漁のいさり火を連想する赤い体色、鮮やかな赤い体表がそれぞれの和名の由来という。
同館は11月から2種の標本展示を行う予定で、松崎さんは「来年は生きた状態で水族館に持ち帰り、多くの方々に泳ぐ姿を見てもらいたい」と話している。