邦楽界をリードする「箏男kotomen」として知られる、双葉町出身の琴奏者の大川義秋さん(28)は10月12日、同町の浅野撚糸(ねんし)双葉事業所フタバスーパーゼロミルで、初の凱旋(がいせん)ソロコンサートを開く。大川さんは福島民友新聞社のインタビューに応じ「明るい未来に進む双葉町を感じられるような、音楽を楽しんでもらう演奏会にしたい」と抱負を語った。
―初のソロ凱旋コンサートに向けた思いは。
「これまでは、3月11日など追悼や心を通わせる場で演奏してきた。今回は地元や県内外から訪れる人と一緒に音楽を楽しめる形にしたい。僕の古里を見てみたいと、北海道や九州からもファンがいらっしゃる予定で、復興が進む双葉を見てもらえると思う」
―どのような楽曲を演奏するか。
「15歳まで育った双葉の風の音や自然の記憶を基に作曲活動を続けてきた。それらのオリジナル曲に加えて今回は、浅野撚糸の糸をイメージした『魔法の糸』という曲をお披露目する」
―浅野撚糸のピアノは卒業した双葉中のものだ。
「少し前までは、つらかったことを思い出すこともあった。今はピアノを弾いてみると、『部活楽しかったな』『懐かしいな』とか、プラスの感情が湧いてきた。ピアノ演奏も含めて11曲を演奏したい」
―ファン交流会も開く。
「通常は写真撮影や握手。今回は双葉町から埼玉県に避難し、そこで琴と出合い、大会で優勝して海外で活動するという、自分のヒストリーをスライドショーと演奏で伝えたい。教育現場などで話したことはあったが、一般向けの演奏会では初の試みになる」
―県内のファンには。
「僕の同級生はすでに子どもがいる年代だが、双葉や震災について話していない人も多い。今の双葉は明るい未来に向かっていて、それに協力したい。福島の希望とか復興する力などについて家族で話す機会になるといいと思う」
入場無料で先着順
凱旋ソロコンサートは浅野撚糸の主催、双葉町の協力で開かれる。10月12日午後0時半開演で、入場無料。先着申し込み順となる。申し込みは凱旋ソロコンサート受付事務局(電話024・983・9415、平日午前9時~午後5時)へ。