長沼まつり、有終の輝き 「愛されて続けられた」40年で幕

09/15 09:50

最後の長沼まつりで通りを練り歩いたねぶたと参加者=14日午後8時5分、須賀川市
まつりを彩り、見物客の注目を集めたねぷた

 福島県須賀川市長沼地区で約40年にわたり続けられてきた初秋の風物詩「長沼まつり」が14日、後継者不足などのため歴史に幕を下ろした。地元住民らが思いを込めて作り上げた迫力満点のねぶた(青森方式の立体形)、ねぷた(弘前方式の扇形の絵)計8基が地区の金町通りに繰り出し、惜しまれつつも一夜限りの晴れ舞台で有終の美を飾った。

 新型コロナウイルス禍による2年間の休止を挟んで迎えた最終回は「第38回長沼まつりFINAL(ファイナル)」と銘打った。午後6時からの出陣式では、参加団体が最後のまつりに懸ける意気込みや思いを披露し、士気を高めた。踊り流しや子どもみこしが元気いっぱいに出発すると、太鼓や鈴の音色、おはやしに合わせて踊る「跳(は)ね人(と)」が元気なかけ声を上げて観衆を楽しませた。

 参加団体が手がけた自慢のねぶた、ねぷたが登場すると、通り沿いに集まった観客からは歓声が上がり、商店街が熱気に包まれた。

 まつり創設から携わっている実行委員長の戸田修一さん(64)は「にぎやかに締めくくることができて良かった。勢いだけで始めたまつりだが、多くの人に愛されて長く続けられた。良い一つの時代を走り抜けた」と語り、活動の集大成を感慨深そうに見つめていた。

 主催の長沼まつり実行委員会は2007年、手作りのまつりを通じて地域活性化と青少年の健全育成に取り組んできた功績が認められ、福島民友新聞社の「第18回みんゆう県民大賞」のふるさと賞を受賞している。

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