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デブリ採取また中断、福島第1原発2号機 カメラ映像確認できず

09/18 07:15

正しい映像が確認できなくなった爪形器具の脇にあるカメラ(東電提供)

 東京電力は17日、福島第1原発2号機での溶け落ちた核燃料(デブリ)の試験的取り出しに使う装置の先端付近に備え付けているカメラ2基の映像が確認できなくなり、デブリをつかむための準備作業を中断したと発表した。東電が原因を調べているが、カメラの復旧時期は見通せておらず、今後の作業に影響する可能性がある。

 関係者によると、早ければ17日にもデブリに接触するとみられていた。デブリの取り出しは廃炉の最難関とされる重要工程だが、トラブルが相次いでおり、東電への信頼がさらに揺らぎかねない事態となった。

 東電によると、装置にカメラは全4基あり、デブリをつかむ爪形器具付近と、装置を伸ばした先端付近にある2基のカメラの映像が確認できなくなった。17日は午前6時ごろに準備作業を開始し、カメラの電源を入れたところ、遠隔操作室のモニターに正しい映像が届かなかった。電源を入れ直したり、ケーブルを差し替えたりしたが、復旧には至らなかった。14、15の両日に電源を入れて装置の動作を確認した際に映像は正常に確認できていたという。

 東電は、カメラが耐えられる放射線量に余裕があることなどから、放射線による影響は低いとしている。東電は対応策を検討しており、18日以降も通信機器の復旧作業を試みる。カメラは原子炉格納容器内にある。

 東電の計画では、格納容器の貫通部から最長22メートル伸びるパイプ型装置を差し込み、先端の爪形の器具で3グラム以下のデブリをつかんで採取する。東電は14日以降、先端から器具を格納容器底部に向けて垂らしたり、カメラの視認性を確認したりして、17日の作業に備えていた。14日には器具がデブリに触れていたという。

 試験的取り出しは8月22日に開始する予定だったが、準備作業中のミスが発覚して同日朝に作業を中断した。東電は原因究明や再発防止対策を講じ、約3週間後の今月10日に作業を再開した。当初は2021年に着手する計画だったが、取り出し方法の変更などで着手を3度延期していた。原発事故のデブリは1~3号機に約880トンあると推計されている。 

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