前石川町長・塩田被告に2年6月求刑、官製談合初公判 「恩義があって断り切れず」

09/19 07:30

塩田金次郎被告

 福島県石川町が発注した公共工事入札を巡る官製談合事件で、官製談合防止法違反や収賄などの罪に問われた前石川町長の塩田金次郎被告(76)=同町形見字道橋=の初公判は18日、地裁郡山支部(下山洋司裁判長)で開かれ、塩田被告は「間違いございません」と起訴内容を認めた。検察側は懲役2年6月と受け取った賄賂に相当する追徴金約42万円を求刑し、即日結審した。判決公判は11月18日午後2時から。

 検察側は冒頭陳述で、塩田被告が親族などを通じて関わりの深かった町内の土木会社「志賀建設」の元役員添田保雄被告(63)=贈賄罪などで起訴=から頼まれ、2019年から少なくとも7回は添田被告に設計額を漏らしたと指摘。後援会行事などへの出費を抑える目的で、添田被告にビールなどを要求したとした。

 論告では、町長の立場を利用したことを「巧妙で悪質。公務員の規範意識が欠如している」とし、約4年間にわたり賄賂の提供を受けた常習性も指摘した。

 弁護側は最終弁論で、設計額を漏らした理由を「添田被告へ恩義があったため断り切れず、私利私欲のためではない」と主張。金銭は要求しておらず、悪質性は低いなどとして、執行猶予付き判決を求めた。

 塩田被告は被告人質問で、物品の受け取りが法律に違反する可能性を認識しながら「『ビールぐらいなら許されるだろう』との甘さがあった。町長の立場だったにもかかわらず、このような事件を起こしてしまい申し訳ない」と謝罪した。

 起訴状によると、塩田被告は、町が22年度に発注した道路工事や認定こども園の用地造成工事の指名競争入札で、設計額を業者に漏らした。19年6月27日~23年2月27日には設計額を漏らし、その謝礼として缶ビールなど計42万円相当の物品を受けた、としている。

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