人工知能(AI)の開発に取り組むRUTILEA(ルティリア、京都市)が新設したデータセンターの竣工(しゅんこう)式は18日、福島県大熊町下野上の現地で行われた。センターには最新鋭の画像処理装置(GPU)を備えており、AIを作成する能力では国内最大級となる。12月には2号棟の完成も控えており、同社は大熊を国際的なAI作成の先進地として打ち出していく考えだ。
同社は主に製造業向けのAI開発に取り組み、大手自動車メーカーなどに納品してきた。規模拡大に向け拠点の建設を検討していたところ、大熊町がデータセンターの誘致に力を入れていると聞き、国の自立・帰還支援雇用創出企業立地補助金を利用して進出を決めた。1号棟の事業費は22億円で、完全子会社のAI福島が運営する。
センターの高度な計算能力は国際競争力があり、国内外の企業からAI作成などを請け負う。AI作成にかかる料金を他社と比べて安価に設定しており、AIを作ろうと考えるITやロボット、ドローン関係の企業を大熊町や周辺地域へ呼び込むことも期待されている。2号棟は経済産業省から補助を受け、50億円を投じて整備を進めている。
式には吉田淳町長や米半導体大手エヌビディア、建設を請け負ったタイズスタイル(大熊町)の関係者約50人が出席した。
ルティリアとAI福島の矢野貴文社長は「このデータセンターを活用して人の生活を豊かにし、役に立つAIを社会に提供したい」と語り、世界の企業が大熊で作られたAIを使って課題解決やイノベーションにつなげる未来に期待感を示した。