県内の再生可能エネルギー由来の発電能力を合計した2023年度の「再エネ導入量」が150億2900万キロワット時となり、県内の使用電力量(146億600万キロワット時)を初めて上回った。太陽光発電と風力発電の設備導入が全体を押し上げ、再エネの導入拡大に向けて県が掲げる、25年度に使用電力量に対する再エネ導入量の割合を100%とする目標を2年前倒しで達成した。
県内の再エネ導入量と使用電力量の推移と、種類別の再エネ導入量は【グラフ】の通り。本県は原発事故後、「再生可能エネルギー先駆けの地」を目指し、40年までに県内エネルギー需要の100%以上を再エネで賄うとの目標を掲げ、導入拡大を図ってきた。
この結果、大規模太陽光発電施設(メガソーラー)や風力発電施設の整備が進み、住宅用太陽光発電の導入も拡大。23年度の石油、石炭などの化石燃料由来も含めた全てのエネルギー需要に対する再エネ導入量の割合は54.9%と前年度(52.1%)から2.8ポイント増え、使用電力量に対する導入量の割合も6.7ポイント増の102.9%と初めて100%を上回った。
県は引き続き再エネの導入拡大に対する支援に取り組む方針だ。ただ、大規模水力発電施設を除いた県内の再エネ導入量のうち約8割を占める太陽光発電では、適地の減少による景観への影響など地域との共生に向けた課題が顕在化している。県は「再エネ導入は関係法令を順守し、安全や環境に配慮しながら進めることが前提。現在は太陽光発電の導入量が多いが、風力などほかの導入も進めたい」(エネルギー課)としている。
県内では本年度、軽量で柔軟性のある次世代技術の「ペロブスカイト太陽電池」の実用化に向けた取り組みが始まる計画で、水素エネルギーの活用といった先進的な動きも出ている。19日の県議会9月定例会で自民党の鈴木智議員(いわき市)の代表質問に答えた五月女有良企画調整部長は「先進技術も活用しながら、再エネ先駆けの地の実現へ取り組んでいく」と述べた。