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中国、日本産水産物輸入再開へ 福島県内漁業者に期待と不安

09/21 08:10

輸入再開についての記事を読みながら、今後の再開拡大への期待を示した小野代表=いわき市
いわき市の漁業関係者からは期待する声が聞かれた=20日午後、小名浜港

 中国が日本産水産物の輸入を再開する方針を示したことを受け、県内の漁業関係者は中国向け輸出再開への前向きな動きと評価した。一方で本県産も対象となるのかと疑問視する声も聞かれた。

 「輸入再開は歓迎するが、段階的な再開で福島県が最後になることを危惧している」。県水産加工業連合会の小野利仁代表(67)は複雑な心境をのぞかせた。原発事故前までは、いわき沖で水揚げされるアワビとナマコの大部分は、中国向けの食材として輸出されていた。小野代表は懸念を示しながらも「(中国の輸入再開が)市場流通の仕組みを立て直す機会になれば」と願った。

 いわき市漁協によると、処理水放出後、県内では中国の禁輸措置の影響を受け、浜値が下がり、アワビは3~4割、ナマコは5割ほど値段が落ち込んだという。同漁協の新妻隆専務理事(65)は「中国の輸入再開が実現し、価格が戻る兆しが見えれば、漁業者と加工業者の意欲が高まる」と期待した。

 相双漁協の今野智光組合長(65)は、中国が国際原子力機関(IAEA)のモニタリングに参加することを「評価したい」と歓迎。一方で「本当に輸入を再開してくれるのか」と不安も口にし「感情論ではなく、科学的根拠で判断してほしい」と求めた。

 松川浦産のアオサ(青ノリ)を原料にした製品を欧州に輸出しているマルリフーズ(相馬市)の稲村利公社長(65)は「福島県産の水産物が、すぐに中国に輸出できるようになるとは思えないが、チャンスがあれば、前向きに考えたい」と話した。

 震災前には、上海や香港などの展示会に製品を出品。「おかゆを食べる文化があるから、中国ではアオサは受け入れられやすく、さらには漢方としても評価されている」と手応えを感じていた。ただ「取引には、経済的、政治的カントリーリスクを考える必要がある」とも語った。

 全漁連坂本会長「一定の前進だ」

 全国漁業協同組合連合会(全漁連)の坂本雅信会長は20日、日中両政府が日本産水産物の輸入再開方針で合意したことについて「一定の前進だ」と評価するコメントを出した。一方、輸入停止措置の解除に向けた「入り口に過ぎない」とも指摘。日本政府に対し早期再開を実現するための取り組みを重ねて求めた。


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