福島県南相馬市が旧小高商高にベンチャー企業の活動を支援する「インキュベーション施設」の整備を検討していることが25日、市への取材で分かった。ベンチャー企業が入居し、事業化への準備をする施設を想定している。市は本年度中に施設の利用需要や校舎の状況などを調べ、施設の機能や在り方をまとめる方針だ。
旧小高商高は同市小高区の中心部にあり、敷地面積が約3.5ヘクタールと広大だ。市内の福島ロボットテストフィールドと、浪江町の福島国際研究教育機構(エフレイ)の中間に位置し、立地条件に優れる。このため市は、類似の機能を持つ同市原町区の市産業創造センターと同様に、新施設に小規模な工場機能を備えることも視野に入れる。
市内にベンチャー企業の進出が相次ぐ中、同市小高区では復興産業団地(フロンティアパーク)も来年度中に完成予定で、創業支援施設の整備により産業振興が一層進むことが期待される。市は来年度にかけて、創業支援のほかに施設に加えるべき機能についても住民を交えて議論を重ねる。
旧小高商高を巡っては、2017年に旧小高工高との統合で小高産業技術高が開校したことに伴い、跡地の活用が課題だった。校舎や体育館などが残っているが、老朽化が進んでおり、市は現状を調査した上で既存施設の改修か、新たに整備するかを判断する。
市は25日までに、施設整備に向けた可能性調査業務委託の最優秀提案者にUDS社(東京都)を選んだ。