玉川村が阿武隈川の名勝「乙字ケ滝」近くにある旧飲食店を改修して整備した複合型水辺施設「乙な駅たまかわ」が28日、オープンした。県産材を随所に取り入れた親水空間から村が誇る食や特産品、川を生かした体験などの地域資源を発信する。
施設内に醸造所を置くあぶくまビールが製造したクラフトビールや村の6次化商品を販売。村産サルナシやブルーベリーを使ったパンなどを味わえるカフェ、県産牛を中心に扱うステーキレストラン、村観光案内所が入った。阿武隈川でのカヌーやSUP(サップ)体験も予約制で楽しめる。
開所前に式典が行われ、関係者が観光・交流の新たな拠点の完成を祝った。須釜泰一村長は「多くの人が川の魅力を安全に楽しみ、気軽に集える場所となるよう活用したい」と述べた。
営業時間は午前10時~午後7時。10月27日までの土、日曜日は先着各10人に記念品を贈る。問い合わせは乙な駅たまかわ(電話050・1722・0034)へ。
「最先端の技術そそいだ」 隈研吾さん語る
乙な駅たまかわを設計したのは、国立競技場(東京都)などを手がけた建築家隈研吾さん。県産材を用いつつ、細長い木の板を隙間を空けて並べる「ルーバー」の意匠を施し、木の風合いを生かした空間とした。
式典に出席した隈さんは「材料に木を使った『国立競技場の原点』のような建物で思い出深い」と施設への愛着を口にした。
改修前の建物も隈さんの設計で1996年、そば店として開店した。隈さんは「滝がある素晴らしい風情の敷地を生かすように設計した」と当時を振り返る。
しかし、東日本大震災の影響で閉店し、空き店舗となった。村が建物を取得すると、隈さんに再び設計を依頼した。隈さんは家具のデザインにも携わり「(そば店の)閉店は残念だなと思っていたが、きれいに再生していただいた。最先端の技術で夢のような施設ができ、皆さんのおかげだと感謝している。これからも玉川村のためにお手伝いしたい」と語った。