会津若松市の猪苗代湖で2020年9月、航行するプレジャーボートで児童ら3人を巻き込み死傷させたとして、業務上過失致死傷罪に問われ、一審福島地裁で禁錮2年の判決を受けたいわき市の元会社役員佐藤剛被告(47)の控訴審初公判が30日、仙台高裁(渡辺英敬裁判長)で開かれた。弁護側は、湖面に浮かぶ人はボートから見えなかったとして改めて無罪を主張、検察側は控訴棄却を求めた。
弁護側は、佐藤被告が所有していた実際のボートを利用し「湖面に浮かぶ人は視認できなかった」とする実験結果を提出した。
渡辺裁判長は公判で、裁判所と検察側、弁護側での主張整理のため一審判決から控訴審初公判まで約1年半の時間を要したと説明した。弁護側によると、控訴審の争点は「湖面にいた被害者がボートから見えたかどうか」になるという。
次回は今月10日に被告人質問を行う。次々回は11月8日に被害者参加制度を利用した遺族の意見陳述などを行い、結審する。
一審判決によると、佐藤被告は20年9月6日午前11時ごろ、猪苗代湖で、前方の安全確認が不十分なままボートを操縦。湖面に浮いていた3人を船尾のスクリューに接触させ、千葉県野田市の男児=当時(8)=を死亡させ、母親ら2人に重傷を負わせた。弁護側は、量刑不当、事実誤認として即日控訴していた。