浜通りPR動画お披露目 QVC、通販と連動…全国放送へ

10/01 09:30

30分のフルバージョンのPR映像を公開した完成披露上映会
地域再生を誓い握手するQVCの伊藤CEOと浜通りサーティーンの吉田知成さん。高倉さんは前列左から2人目

 通販大手のQVCジャパン(千葉市)は30日、双葉町で、浜通りを対象とした地方創生キャンペーン「ポテンシャル、無限大!福島。」のPR動画の完成披露上映会を開いた。約30分の動画「HAMADOORI the Movie」は見た人が浜通りに関心を持ち、訪れたくなるような内容で、ケーブルテレビなどを通じて全国放送する。ネットやテレビなど同社の多様な通販メニューと連動した取り組みで、伊藤淳史最高経営責任者(CEO)は「地元の産品を全国にお届けすることでお役に立ちたい」と語った。

 公開された映像は6章構成で、第1章「咲かせる人」は飯舘村の復興三千本桜ができるまでの物語、第2章「つくる人」ではいわき市の体験型農園「ワンダーファーム」の魅力をまとめた。第3章「つなげる人」は川内村で古民家カフェを営む志賀風夏さん、第4章「見つめる人」は飯舘村で「図図倉庫(ズットソーコ)」を運営する矢野淳さんの取り組みを追っている。

 地方創生キャンペーンは、浜通りの広域連携団体「HAMADOORI13(浜通りサーティーン)」と連携して行われる。第5章「つながる人々」では、震災後に各地の若手経営者が地域再生を目指して集まり、浜通りサーティーンができるまでのストーリーを紹介している。福島民友新聞社は同団体をテーマにした「浜通り13物語」を連載していたため、資料提供などで協力している。

 最終章は「未来へ」と題して、ふたば未来学園の生徒らが出演している。QVCジャパンの石原収社長は「多くの人に映像を見てもらうよう、全国区で放映したい」と述べ、県内のテレビ局での放送も視野に入れていることを明かした。

 東北出身社員の熱意で実現 

 QVCで初の地方創生キャンペーンが浜通りに決まったのは、同社の東北出身の社員の熱意があった。販売戦略など複数の分野の統括本部長を務める高倉裕助さんは、双葉町出身。震災後に、双葉町で復興に向けいち早くガソリンスタンドを再開した「伊達屋」の吉田知成さんと知り合った。

 吉田さんは浜通りサーティーンの創設メンバーの一人で、仲間や若手起業家の地域への思いを伝えた。高倉さんは、熱意に共感しながらも「会社にとっては日本全国が大事だ」と考え、当時社内で進んでいた地方創生の企画に、自らが双葉町出身であることなどを伏せて吉田さんらの取り組みを報告した。

 すると、東北出身の社員らから「一番元気になってほしい地域だ」「何かやりましょう」と声が上がり、プロジェクトがスタートした。高倉さんはそこで初めて、出身地を明かした。双葉町で開かれた上映会では吉田さん、高倉さんがそろって笑顔を見せていた。

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