日銀福島支店が1日発表した9月の県内短観は、DIが全産業で前回の6月調査から2ポイント改善の2だった。先行きは1ポイント下落のプラス1を見込んでおり、足元の業況は改善傾向にあるが、企業間では先行きに慎重な見方が広がっている。
今回調査では、製造業は4ポイント上昇したプラス1で、2019年9月期以来5年ぶりのプラスとなった。海外経済の持ち直しの動きや生成人工知能(AI)の需要の高まりに伴う受注が改善した。一方で、一部業種ではコスト高や人手不足が影響し厳しい状況が続く。
非製造業は2ポイント改善のプラス4。コスト上昇分の価格転嫁が進展しつつあり、旅行客数も増加している。ただ、価格転嫁が十分でない建設業や卸売業などの業種で収益が圧迫されており、値上げによる消費者の買い控えにもつながっている。
このほか、販売価格について「上昇」と答えた企業の割合から「下落」の割合を差し引いた判断指数は、製造業は4ポイント下落の28、非製造業は2ポイント下落の18だった。いずれも落ち込んだものの大幅なプラスを維持している。
福島支店で記者会見した中嶋基晴支店長は「仕入れ価格の高止まりから価格転嫁への意欲が見て取れる。企業の価格設定に対する姿勢は変化しており、注目点の一つだ」との認識を示した。