弓道3人組快挙、頂点射抜く 佐賀国スポ、自転車・集団抜けポイント

10/09 08:45

【弓道成年男子近的】21年ぶりに制した本県チームの(左から)山口、古川、天野=多久市緑が丘弓道場
【自転車少年男子ポイントレース】中野目監督と握手をして国スポ初優勝の喜びを分かち合う成田=武雄競輪場

 遠く九州の地で本県スポーツの力が輝きを放ち、確かな足跡を残した。佐賀県で8日に行われた国民スポーツ大会(国スポ)で弓道の成年男子が近的で21年ぶりの王座に返り咲き、自転車の少年男子がポイントレースを制覇。故郷の誇りと競技への自負を胸に戦い抜いた。

 決勝、接戦制す 成年男子

 21年ぶりの快挙を成し遂げたのは、出会って1年もたたない3人組だった。弓道成年男子近的に臨んだ天野正祥(まさよし)(31)=クレハ生産本部いわき事業所、勿来工高卒、古川航成(23)=シンク、会津大卒、山口哲成(のりまさ)(34)=西内工務店、会津工高卒=の本県チームは精神力の強さを発揮し、優勝を手にした。

 近的は3人が各自4射ずつ矢を放ち、28メートル先の的に当たった矢の本数で競う。決勝トーナメント1回戦から競射となる接戦を勝ち上がって迎えた決勝では、長野県と10―10で同数となり競射で競り勝った。3人は栄冠に「まさかそんなことをやってしまったのか」と驚きを隠さなかった。

 天野は優勝できた理由について「チームの仲がいいこと」を挙げた。3人は昨冬に出会い、練習を重ねながら「互いに癖を指摘し合うほか、根を詰めないよう冗談で場を和ませていた」と山口。渡辺英史監督は「全員4射全て当てる力を付けてほしい」と伝え、3人に練習方針を任せていた。指揮官の放任的な戦略もあり3人は会話が自然と増えていった。

 「遠的でも優勝し、近的と両方で結果を残したい」。古川は来年の国スポへの目標を高らかに宣言した。(佐藤未羽)

 タフな成田「逃げ」真価 自転車少年男子

 先を見据える視線はぶれず、冷静な表情をレース中は一切崩さない。自転車少年男子ポイントレースを制した成田光志(こうし)(17)=学法石川高2年=は昨年の前回大会を超える成績で成長の軌跡を示した。「レース中の駆け引きで後続をうまく引き離せた」と納得の表情だった。

 5周ごとに1~4位の通過順位で得点を重ねるレースで、真価を発揮したのは持ち味の持久力だった。「レース後半が勝負」とにらみ、前半から上位集団に入ると集団から抜け出して先行する「逃げ」でポイントを稼いだ。

 周回を重ね30周を超えて以降は、ペースを落とすライバルを尻目に毎回得点するしたたかさを発揮した。「勝負にいくところと、後続から飛び出すタイミングを見定められた」と充実したレース内容だった。

 自転車競技は高校から始めた。「落ち着いた自分の性格に合っている」とうなずく。窮地でも動じない心が武器でもある。

 「よくやった」。優勝を決めて戻ってくると、レース中に声がけした中野目啓(ひらく)監督(白河実高教)から祝福を受け、握手を交わした。勝負を終えた17歳の表情が緩み、満面の笑みがこぼれた瞬間だった。(小野原裕一)

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