映画「釣りバカ日誌」シリーズやNHK大河ドラマなどに主演し、温かみのある演技で親しまれた俳優の西田敏行(にしだ・としゆき)さんが東京都世田谷区の自宅で死去したことが17日分かった。76歳。郡山市出身。
8日には映画のイベントに出席、元気な姿を見せていた。所属事務所関係者は「心臓の持病があったが、普通に日常生活を送っていた」と話した。捜査関係者によると、17日午後0時20分ごろ、西田さんの家族が119番した。ベッドで冷たくなっている状態で、その場で死亡が確認された。
1970年に劇団青年座に入団。NHK連続テレビ小説「北の家族」や、「西遊記」「池中玄太80キロ」「淋(さび)しいのはお前だけじゃない」などのテレビドラマに数多く出演した。81年のNHK大河ドラマ「おんな太閤記」で豊臣秀吉を演じた。大河ドラマでは「翔(と)ぶが如(ごと)く」「八代将軍吉宗」「葵 徳川三代」で主演、「八重の桜」にも出演した。
映画でも存在感を放ち、88年から「釣りバカ日誌」で主演。出世より釣りや家庭を愛する「ハマちゃん」を演じ、「男はつらいよ」の後を継ぐ形で国民的人気シリーズとなった。
2008年紫綬褒章。18年旭日小綬章。
復興に尽力、県民栄誉賞
西田さんは1992年から本県の応援団「しゃくなげ大使」を務めるなど長年にわたり古里に思いを寄せて活動。東日本大震災後は本県復興に尽力、2018年に4人目となる県民栄誉賞を受賞した。
震災後、東京電力福島第1原発事故による避難者が生活する仮設住宅を訪れたり、風評被害を受ける県産農産物の購入を呼びかけたりと、県民に寄り添いながら復興を後押し。15年に開校したふたば未来学園高を支援する「ふたばの教育復興応援団」の一員として、生徒たちを励まし続けた。
県民栄誉賞受賞時には「福島のことを表現する俳優として生きていきたい」と決意を新たにした。15年には「第25回みんゆう県民大賞」芸術文化賞を受賞している。