好きなことをしていても、ただいるだけでも、自分の存在をありのままに認めてくれる空間は、心の平穏を与えてくれる。地域の中で、子どもと若者が安心して過ごすことができる居場所づくりを進めていくことが必要だ。
県によると、学校や家庭以外で子どもに食事や居場所を提供する「子ども・若者の居場所」の県内の設置件数は7月1日現在、221カ所だった。主に民間団体や地域の有志が運営しており、全体の9割弱が子ども食堂だ。前年同期と比べると、35カ所増えている。
子ども食堂は子どもにとって、単に食事を得る施設ではなく、親や教師でない大人や同年代と触れ合う中で、自分の個性を出したり、協調性を学んだりする場所になっている。県や市町村は、意欲ある団体に対し、調理器具の確保などの初期投資分を支援する補助事業の利用を呼びかけ、さらなる開設を後押ししてもらいたい。
県が実施したアンケートによると、家や学校のほかにも居場所があると回答したのは、小学6年生が8割、中学2年生が8割弱、高校2年生が7割弱だった。県は上の年代ほど割合が少ないのは、成長するに従い、求める事柄が多様化することが原因とみている。
県が集計した居場所のうち、子ども食堂以外の機能を持つのは体験活動支援が27カ所、学習支援が26カ所、フリースペースの提供が24カ所、不登校の児童・生徒の居場所が23カ所となっている。県は各地の運営団体と連携し、子ども食堂と体験活動、フリースペースなどの組み合わせを進め、若者が自分の求める居場所があることを実感できる環境を整えてほしい。
子どもの居場所は、県が統計を取り始めた2016年から順調に増えているが、居場所が都市部に集中するなど、地域による偏りを解消できていないのが現状だ。まだ26の自治体では、居場所ゼロの状況が続いている。周囲に子ども食堂などの事例がなく開設の方法が分からない、家庭の貧困救済という印象が残っていて手がけるハ
ードルが高いと感じてしまう、などの理由があるとみられる。
近年は、企業が社会貢献の一環として、将来の地域を担う世代の居場所づくりに取り組むことが広がりつつある。子どもの居場所は、地域の大人や高齢者が集まる場所としても役立てることができる。県には、開設や運営のノウハウを持つふくしまこども食堂ネットワークなどの団体と協力し、設置されていない地域で研修会などを開き、地域住民や企業の参画を促していくことを求めたい。
