東日本大震災と原発事故を経験し、避難所の環境は大きく見直されてきました。その中で改めて重要になっているのが、避難所を誰が運営するのかです。避難所は、建物ではなく、人の力で支えられています。
災害時には、まず市町村職員が避難所の運営に当たります。しかし、自治体の職員数には限りがあります。例えば、熊本地震(2016年)では、最大で800カ所の避難所が開設され、県内の自治体職員だけでは対応しきれず、応援職員が1万2000人以上派遣されたことが報告されています。こうした数字からも、自治体だけで避難所を十分に運営することが難しい場面があることが分かります。
一つの避難所では、受付、物資管理、清掃、衛生管理、夜間の見回りなど、実に多くの役割が必要になります。状況によって必要人数は異なりますが、実務では複数人での持ち回りが前提となります。そのため、近年は自治会、消防団、民生委員、PTA、企業、NPO、ボランティアなど、地域全体で役割を分担する「住民主体の避難所運営」が広がりつつあります。
近年の災害でも、地元の住民やボランティア団体が受付や物資整理、清掃などを担い、避難所の維持に大きく貢献したと報告されています。
一方で、地域によっては高齢化や人口減少が進み、担い手を平時から確保することが難しい場合があります。住民も市町村職員も被災者です。避難所運営のマニュアルが整っていても人がいなければ実行に移すことはできません。日頃から「誰がどの役割を担うか」を話し合い、無理のない形で協力できる体制を作っておくことが、次の災害に向けた大切な備えになります。
