福島県浅川町で「福」を探してみませんか―。地元有志でつくる「浅川七福神巡り実行委員会」がチェーンソーアートで作った恵比寿や大黒天など七福神の木像を町内7カ所に飾り、まち歩きに活用してもらう活動を始める。今月中に全ての像が設置され、年明けから七福神巡りを楽しめそうだ。地域に根差し、さまざまな分野で活動している人たちが自分の特技を少しずつ持ち寄り、町の新たなパワースポットとして結び付いた。
浅川町の各地に七福神が現れる。6日、同町の白山比咩(ひめ)神社で納められる恵比寿像の除幕式と清めの神事が行われた。満面の笑みをたたえる“えびす顔”の像を囲み、関係者は「ようやくお披露目だ」と笑顔を見せた。
実行委の発起人は、町内で働く清家(せいけ)栄治さん(52)=須賀川市=だ。清家さんは七福神巡りが趣味で、七福神を目当てに県内外を旅している。しかし、中通りには七福神を巡れる場所がなく「浅川町にも七福神があればいいのに」と考えた。
清家さんは2月ごろから像の制作を構想し、協力者を募った。町内で会社を営む大野美佐男さん(71)=玉川村=がチェーンソーアートをしており「七福神を作っていただけないか」と声をかけた。
「町の盛り上がりにつながるなら」と大野さんは申し出を快諾。町の助成金も活用し、所属する「古殿町チェンソーアートクラブ」のメンバーと手分けして今夏ごろからスギ材で高さ約1メートルの像を7体制作した。
ほかにも、町内のつながりで次々と協力者が集まった。地元の印刷会社がまち歩き用のマップを手がけ、地域おこし協力隊員が情報を発信し、石材店や庭師が設置を技術面で手伝った。
清家さんは「小さな町でも皆さんの協力で目標をかなえることができた。人の良さを感じた」と感謝する。
七つの木像は吉田富三記念館や城山公園などに設置し、スタンプラリー用のスタンプも設ける。マップの裏面にスタンプを押せるシートがあり、神社仏閣で御朱印を集める「御朱印巡り」のように収集できる。
マップは町役場や町商工会で配布される。スタンプを集めた人に贈る景品や七福神に関連したイベントも検討している。清家さんは「一体一体の表情と造形に味がある。七福神を通じて町の魅力に触れ、幸せを感じてもらえたらうれしい」と願った。
