福島県5小選挙区・立候補者アンケート 衆院選『争点』を聞く

 

 22日投開票の衆院選で、福島民友新聞社は県内5小選挙区に立候補した17人を対象にアンケートを実施した。東日本大震災、東京電力福島第1原発事故後3度目の衆院選となる中、復興加速化や風評対策など本県の将来に関わる施策を聞いた。またアベノミクスの評価、憲法改正の是非など今回の衆院選の争点に関わることも尋ねた。

 復興施策は「廃炉」最重要5人、「産業振興」は4人

 復興施策については「廃炉」が最多の5人で「産業振興」が4人と続いた。「社会福祉」「賠償」「社会インフラ整備」「除染」が各1人、その他は4人だった。
 廃炉を挙げたのは民進系無所属の前職1人、希望の党公認の前職1人、共産党の新人2人、社民党の新人1人。産業振興は自民党の新人、前職計3人と日本維新の会の新人1人が回答した。その他では「一つだけは選べない」「全てが重要」「風評被害の払拭(ふっしょく)」「県民の希望を再生」といった内容だった。

 消費税増税分で教育支援、「賛成」6人「反対」5人

 消費税増税分を幼児教育無償化や高等教育負担軽減に充てるという安倍首相の方針については「賛成」が6人、「反対」が5人だった。「どちらとも言えない」が4人。2人は無回答としたが、消費増税そのものに反対している。
 賛成は自民党候補全員と無所属の前職の計6人で、「少子高齢化の日本で子育て・介護問題を解決するため」(自民党候補)などの意見があった。一方、反対の候補者からは「消費税10%に反対。大企業や富裕層に応分の税負担をしてもらい、増収を図るべきだ」(共産党候補)などの意見が出された。
 消費税増税を巡っては、自民は予定通り2019年10月に10%に引き上げ、公明は軽減税率を導入すべきだとする。希望の党は凍結を主張、日本維新の会も凍結を訴える。共産党は中止すべきだとし、立憲民主党は直ちに引き上げはできないとする。社民党は増税に反対の立場で、日本のこころは消費税マイレージの導入を訴える。

 「アベノミクス評価」与野党で分かれる

 安倍政権が進めてきた経済政策「アベノミクス」の評価については、自民党の候補者が80~90点と高得点を付けた一方、野党側は共産、社民両党の候補者が0点を付けるなど与野党で極端に分かれた。
 候補者のうち最高の90点を付けた自民党の前職は「『人づくり革命』『生産性革命』で経済の好循環を完遂する」と評価。一方、0点を付けた野党側の理由は「格差と貧困が拡大した」などだった。

 北朝鮮情勢など安保「争点にすべき」多く

 北朝鮮情勢に関わる安全保障問題については多くの候補者が「争点にすべきだ」と答えた。
 理由では「国の平和と安全に直結する問題」「不測の事態も想定した国民保護体制の整備」「安全保障環境は以前と比べ大きな変化が見られる」などの回答があった。
 一方、「争点にすべきではない」と回答した社民党の候補者は「圧力強化は戦争の危険を高めるだけだ」とした。

 風評対策15人「不十分」

 震災と原発事故後の風評に対する国の対応は十分と考えているかを聞いた設問では、15人が「不十分」と回答した。自民党前職の2人は「十分」と答えた。
 不十分と答えた候補者からは「政府が先頭に立ってさまざまな情報発信のサポートを行うべきだ」(希望の党候補)や「放射線の正しい知識を広げるため全国の学校での指導、受験での関連問題の採用を検討すべきだ」(無所属候補)などの意見が出され、中には「風評払拭(ふっしょく)は原発廃炉を実現すること」(共産党候補)など廃炉の加速化を訴える声もあった。
 十分と答えた自民党候補は「現時点の施策としては十分だが、販路拡大を図って農林水産業の再生に努めたり、観光の振興にさらに取り組むべきだ」とした。

 憲法改正は「賛成」9人「反対」6人

 憲法改正については、「賛成」9人、「反対」6人、「どちらとも言えない」2人。自民党は前職4人、新人1人の5人が賛成。民進系は、希望の党前職2人と無所属前職1人が賛成。同党新人1人と無所属1人がどちらとも言えないとした。日本維新の会の新人1人は賛成した。
 共産、社民両党の新人6人はいずれも反対だった。
 賛成では、「自衛隊の合憲性を巡る論争に終止符を打つため」(希望の党候補)や「震災の経験を踏まえ、政府が国民の生命・身体・財産を守ることができるよう、『緊急事態条項』を創設すべきだ」(自民党候補)などの意見が出された。
 一方、反対では、「戦争への道のりに国民を引きずり込むものだから、憲法を守り、暮らしと平和に生かすことが政府と国会議員の責務だ」(社民党候補)などの理由が挙がった。

 国内「原発ゼロ」自民1人が賛成

 国内の「原発ゼロ」に賛成か反対かについては、野党候補者12人が「賛成」する中、「原発回帰」を進める安倍政権下の自民党候補者で判断が分かれた。
 自民党候補者5人の内訳は「賛成」1人、「反対」1人、「どちらとも言えない」3人。このうち「賛成」した前職は「第一は国民の安全。ただ段階的に代替エネルギーを進めることは重要」と指摘。一方、「反対」を選択した新人は「原発依存度は可能な限り低減させる」とした上で「安全確保を大前提に、エネルギーのベースロード電源として活用する」と答えた。