【衆院選・最前線ルポ】新票田西郷、勝敗の鍵 知名度アップに奔走

 

 「会津との連携を西郷村の発展につなげる」。改正公選法による区割り変更で7月に福島3区から4区に編入された西郷村を巡り、4区の候補は会津と県南の連携を強調して舌戦を展開する。村の有権者数は1万6453人(9日現在)で若松、喜多方、会津美里に次ぐ大票田。西郷の票の行方が激戦を左右する。(敬称略)

 新たな地盤にと期待

 「西郷では知名度ゼロ。渡部恒三先生、玄葉光一郎先生のような実力はない発展途上の人間だが、今の政治を変える力を与えてほしい」。13日夕、西郷村文化センターでマイクに力を込める希望・小熊慎司の隣には、中選挙区時代に村内で強固な地盤を築いた元衆院副議長の渡部が座る。西郷が3区だった前回まで強さを誇った民進系無所属・玄葉も、自らの遊説の合間を縫って応援に駆け付けた。

 区割り変更から約3カ月での衆院選。希望の党の公認作業で準備が遅れ、西郷での活動にも影響した。それでも前回、4区を416票差で制した小熊は、渡部と玄葉の影響力が強い西郷を新たな地盤として期待。陣営は「顔を出せば出すほど知名度が上がるのが分かる。西郷で自民に差を付けたい」と浸透に躍起だ。

 粘り強く組織固め

 「西郷の皆さまと触れ合いを深めようという矢先の解散。選挙戦で皆さまの声を聞き、西郷のために責任を果たす」。選挙戦初日の10日、西郷村のイオン白河西郷店前で街頭演説した自民の菅家一郎は、政権与党としての実行力を訴え、有権者と握手を交わした。

 3区の自民新人・上杉謙太郎の活動を引き継いだ菅家陣営は、村内に事務所を設置。後援会活動もゼロからのスタートだったが、自民系村議が中心となり組織固めを粘り強く進め、菅家の知名度向上に奔走する。

 支援者が集い活気付く会津若松市の選挙事務所で、陣営幹部は「前回僅差で負け、われわれは追い掛ける立場」と危機感を強調。渡部、玄葉の地盤があろうとも「西郷では誰もが新人。1票でも2票でも票を掘り起こす」と力を込める。

 躍進を期す2新人

 社民新人の渡辺敏雄は区割り変更に伴い、西郷村に選対事務所を新設。陣営幹部は「4区の比例目標2万票に向け、西郷で票の上積みをしたい」と意気込む。

 共産新人の古川芳憲は村議が中心となり、西郷村の組織固めを進める。18日には古川が遊説する予定で、幹部は「きめ細かく政策を訴えたい」と躍進を期す。

 西郷村では3人が立候補した前回、玄葉が4524票、上杉が2259票、共産候補者が784票だった。