【衆院選・最前線ルポ】中山間地に若者を 人口減対策訴え懸命

 

 衆院選は中盤に入り、舌戦も激しさを増す。福島3区の田園地帯には農作業の手を休め、選挙カーに手を振る高齢者の姿が目立つ。人口減少率(2015年国勢調査)が全国で2番目に高い本県にとって地方創生・人口減少対策は急務だ。候補者3人も地域活性化に向けた政策を懸命に訴えている。(敬称略)

 鮫川村で就農した伊藤真之(31)は大学卒業後、川崎市から村内に移住して3年目。村民の温かさに触れながら農業がしたいと移住を決意した。顔見知りも増えたが、若者に限れば数人程度だ。「若い人が増えるよう、小さな村にも目を向けてほしい」。高齢化が進む中山間地の明るい将来を願っている。

 知名度と実績に自信

 「国政の軸足を地方に移し、農村などを重視した政策に変える」。初当選した1993(平成5)年以来の「無所属」候補となった前職の玄葉光一郎は15日、玉川村の街頭で地方目線を強調した。

 8期24年の経験と元外相の知名度。加えて若者や女性の所得向上など幅広い地方創生の政策もアピールする。棚倉町での演説会では、玄葉の登壇を待つ支持者から「玄葉さんの話を聞きに来た」と声援が飛ぶ光景も見られ、陣営は長年訴えてきた政策や玄葉の実績の浸透に自信を持つ。

 党派を超えた後援会組織「玄葉党」が支持拡大の軸だ。ただ今回は比例復活当選がなく、選対幹事長の県議宗方保(69)は「『玄葉さんは大丈夫でしょ』との思いが最も危険」と選対の引き締めを徹底する。

 前回を上回る総力戦

 「地場産業を強化すれば会社が潤い、若い人が出ていかなくなる。人口減少に歯止めをかけたい」。自民新人の上杉謙太郎は13日、玄葉の地元田村市での総決起大会で気勢を上げた。

 前回衆院選で玄葉の壁に屈した上杉には、約3年間の地元回りで地域課題に耳を傾けてきた自負がある。「県民に近い存在」と訴え、政権与党として政策の実行力も強調。4月の田村市長選では自民推薦の元県議が玄葉の後援会が支援する現職を破り、陣営は「(玄葉の)牙城を崩す潮目が変わった」と攻勢をかける。

 県建設業協会のトップを選対本部長、元県議会議長の県議を選対幹事長に据え、前回以上の総力戦で臨む。連合後援会長の轡田(くつわた)倉治(75)は「大票田の須賀川市や白河市でどれだけ浸透できるかが鍵」と意気込む。

 遊説や街頭演説に力

 共産新人の橋本健二は消費増税に反対し「地域経済を活性化させる」と強調。遊説や街頭演説を中心に、党躍進に全力を挙げる。(水野智史)=おわり