【衆院選・データ分析】自民「5」政権奪還以来 民進系は善戦

 

自民、公明両党で定数の3分の2を確保した第48回衆院選。県内5小選挙区は、自民党が3議席、民進系無所属が2議席を獲得した。本県関係の比例東北では重複立候補した自民2人、希望の党1人が復活当選した一方、単独立候補した公明党の前職が議席を失った。本県の衆院議員数は自民5、無所属2、希望1の8人。県内の戦いをデータで分析する。

 自民5議席、民進系3議席

 【与野党対決】自民党は県内小選挙区で前職3人が議席を獲得し、前職と新人の2人が比例復活当選した。5小選挙区の立候補者全員が比例復活を含めて議席を得たのは、政権を奪還した2012(平成24)年の前々回以来で、本県関係の自民議席は公示前の4議席から5議席に躍進した。
 震災、原発事故後3度目となった今回の衆院選。希望の党への合流を巡る民進党の動きもあり、民進系の候補者が希望と無所属に立場を変えて出馬した。民進系は1、3区で勝利し、4区は比例復活で当選。ただ5区で敗れたため、公示前勢力の4議席から1議席を減らす結果となった。
 県内の衆院選の歴史を見ると、政権交代を生んだ09年は、旧民主党が県内5小選挙区で全勝した一方、12年は自民が4議席を奪還。前回14年は自民3議席、旧民主1議席、維新1議席と分かれた。
 県内5小選挙区と比例東北で当選した本県関係8人の平均年齢は56.9歳となり、前回(8人)の53.1歳と比べて3.8歳上がった。また小選挙区で当選した5人の平均年齢は60.4歳で、前回の56.8歳より3.6歳上がった。

 金子氏、最多12万6664票

 【候補者得票】県内5小選挙区に立候補した17人の中で、10万票を超えたのは一騎打ちとなった1区の2人だった。最も多かった民進系無所属の金子恵美氏は、前回より2万9021票多い12万6664票を獲得。比例復活した自民の亀岡偉民氏は11万3514票で、1万3150票及ばなかった。
 前回、1区に立候補した共産候補の得票数は1万6787票。今回、1区では野党共闘で候補者が金子氏に一本化された。共産の支援を受けた金子氏が共闘の効果を発揮、確実に票を積み上げたとみられる。
 2区の自民の根本匠氏は9万6892票で、前回より5206票多かった。希望の岡部光規氏は5万9377票で前回比1019票の増加にとどまった。
 3区の民進系無所属の玄葉光一郎氏は前回比1532票減の9万2930票。自民の上杉謙太郎氏は小選挙区で敗れたものの、前回より1万832票多い6万6票を獲得し、惜敗率64.5%で比例復活した。
 前回に続き激戦となった4区は、自民の菅家一郎氏が6万8282票で前回より1万1842票を積み増し、雪辱を果たした。一方、比例復活した希望小熊慎司氏も6万7073票と前回より1万217票増やしたが、一歩届かなかった。
 5区は、自民の吉野正芳氏が8万6461票で、前回から1万5359票伸ばした。一時、後進に道を譲る考えを示していた希望の吉田泉氏は、前回より8563票少ない5万1478票にとどまった。

候補者得票

 自民・47.11%、希望・19.7%

 【小選挙区得票率】県内小選挙区の県全体の政党別得票率は、自民党が前回から2.2ポイント伸ばして47.1%だった。
 民進党の希望の党への合流に伴い、民進系の無所属が24.3%、希望の党は19.7%だった。候補者4人を擁立した共産党は6.1%で前回より3.3ポイント減少した。2人が立候補した社民党は前回比0.5ポイント増の1.7%、2区に1人が出馬した日本維新の会は1.1%だった。

 56.69%全国平均超え

 【小選挙区投票率】県選管によると、県内5小選挙区の投票率は56.69%(男性56.93%、女性56.47%)で、戦後2番目に低かった。
 戦後最低は前回2014(平成26)年12月の52.51%。前回を4.18ポイント上回り、全国の53.68%よりも3.01ポイント高かった。
 選挙区別では1区58.44%(前回比4.91ポイント増)、2区53.33%(同4.03ポイント増)、3区60.96%(同4.86ポイント増)、4区63.12%(同5.52ポイント増)、5区49.73%(同1.98ポイント増)となった。福島、郡山、いわき、会津若松の主要4市ではいわき市が49.62%で唯一、50%を下回った。
 59市町村のうち投票率が最も高かったのは檜枝岐村の82.99%で、最も低かったのは浪江町の46.98%。区割り変更で4区に編入された西郷村は48.57%で前回を1.71ポイント下回った。

 「死に票」は減少

 県内5小選挙区に立候補した17人のうち、比例東北での復活当選者3人を除く落選者に対し有権者が投じた票「死に票」の合計は19万910票で、16人が立候補した前回より6万4261票減少した。有効投票総数に占める割合は21.1%で、前回より9.8ポイント下がった。
 今回は前回より1人多い3人が比例で復活当選し、「死に票」になるはずった得票分24万593票が息を吹き返した。選挙区別で「死に票」の割合が最も高かったのは2区の47.4%で、5区46.4%、4区11.5%、3区6.8%と続いた。一騎打ちとなり、落選候補が復活した1区は「死に票」がなかった。

 比例の得票自民上積み

 比例東北の県内の政党得票で最も多かったのは自民党の28万2078票で、前回を3万5624票上回った。希望の党が19万9020票、立憲民主党が16万8847票と続いた。公明党は前回より8629票多い10万709票を獲得したが、2議席から1議席に減少。1議席を維持した共産党は6万9128票で前回より1万2891票減り、与党批判票の受け皿になり切れなかった。社民党は前回比2952票増の2万8954票、日本維新の会は2万8977票だった。
 得票率は、トップの自民が31.70%(前回比1.55ポイント増)、希望は22.36%、立憲民主は18.97%。公明は11.32%(同0.05ポイント増)、共産は7.77%(同2.26ポイント減)、社民は3.25%(同0.07ポイント増)、維新は3.26%だった。