【衆院選・激流の余波(公明・共産・社民)】『新党乱立』伸び悩む

 
開票状況を見守る公明党の関係者。新党乱立の影響は支持拡大を狙った他党にも及んだ

 「短期間の準備の中で新党ブームもあり、関心が公明に向かず、ハードルが高かった」。22日の衆院選開票日。公明党県本部事務所(郡山市)で県本部代表の若松謙維は声を絞り出した。

 公明は2014(平成26)年の前回、比例東北で初めて2議席を獲得したが、前職の真山祐一(36)の議席を失った。「自公連立」「希望と維新」「共産、立憲民主、社民」の3極対決の様相を呈した選挙戦で公明は存在感を示せず、埋没した。

 「現政権に厳しい目があった」。県本部幹事長の今井久敏は、敗因を短い言葉で語った。衆院解散後、希望の党への合流を決めた民進党が分裂、新たに立憲民主党が設立されるなど、野党再編を巡る情勢が目まぐるしく変わり、有権者の関心を奪われた。

 そして自民対野党勢力の構図の中で、政権への批判は連立を組む公明にも向かい、無党派層の支持が伸び悩んだ。自民候補者を推薦する一方で比例票獲得に自民の支援を取り付けたが目標の県内11万票に届かず、約10万票にとどまった。今井は「公約を実現し、政策本位の姿勢を示すことで党勢拡大につなげたい」と捲土(けんど)重来を期した。

 「野党共闘の勝利は全県に波及する」。共産党県委員長の久保田仁は衆院選を総括した。公示直前に福島1区の公認候補者を取り下げ、野党共闘の民進系無所属候補を支援、勝利した実績を評価した。ただ、希望、立憲民主などの新党乱立は与党批判票の分散を招き、共産もまた比例の県内得票を前回より1万票以上減らした。久保田は早くも2年後の参院選での野党共闘も見据える。「質、量的にも党を発展させ、現政権打倒の機運を強めていく」

 「全国では何とか現有2議席を確保したが、県内では比例票を大きく伸ばせた」。25日に福島市で開かれた連合福島の定期大会で、社民党県連代表の紺野長人は衆院選の結果を報告した。紺野は、リベラル志向の無党派層の多くは立憲民主を支持し、社民の存在感は薄まったと見る。その上で「地方議員が中心となって地道に地域で活動し、暮らしの現状を政治に届けていきたい」と話した。(敬称略)