いざ選挙へ...受注業者も走る 衆院解散、急ピッチで仕事進める

 
衆院解散を受けて必勝だるまの製造を急ピッチで進める白河だるま総本舗の職人

 衆議院が解散された14日、事実上の選挙戦が始まって立候補者や各陣営は慌ただしく動きだした。同じように忙しくなっているのは、選挙に関連した仕事を受注している業者だ。「19日公示、31日投開票」という選挙日程は、当初有力視されていた日程より1週間ほど前倒しとなったこともあり、「何とか間に合わせなければ」と急ピッチの作業が進められている。

 選挙になると目にすることになるだるま。白河だるまを製造する白河市の佐川だるま製造所と白河だるま総本舗の両社は、「必勝だるま」の製造に追われている。

 佐川だるま製造所では、今月上旬から県内外から注文が入り始めたという。同製造所の店主佐川明子さん(62)は「衆院解散の日程が発表されてから、発注者から納期を1週間早くしてほしいとお願いされ、大慌てで作業した」と語る。

 白河だるま総本舗でも、だるま製造が本格化した。同本舗の職人渡辺幸子さん(58)は、「11月の公示だと、だるま市などのだるま製造時期と重なり大変だったかもしれない。前倒しになってよかった部分もある」と明かした。

 会津若松市の印刷会社には、選挙関係のパンフレットなどの注文が飛び込んできた。昨年からの新型コロナウイルス感染拡大の影響で各種イベントが中止となり、印刷物の受注が減っていた。経営者の男性は「急いでくれという注文で、久しぶりにバタバタした。うれしい悲鳴ですね」としみじみ話した。

 郡山市から候補者のポスターを掲示する看板などの設置業務を受託した同市の広告関係業者は、「11月の選挙を見込んで準備していたので、急がないといけない」と気をもむ。同市では、公示日前日の18日までに道路沿いなど639カ所に看板を取り付ける必要がある。「選挙を無事に行うことができるように看板を作り、立てる段取りをしなければ」と調整に汗を流す。

 贈答用として需要がある「コチョウラン」。県内で生産に取り組んでいる葛尾村の農業法人「かつらお胡蝶蘭合同会社」は、秋の出荷のピークを迎えている。どれだけが選挙と関係しているかは分からないが、首都圏からの引き合いが多くなった。同社は「コロナ禍で落ち込んだ出荷量はほぼ平年並みになった」とした。

 福島市内の「花の店サトウ」では、過去の選挙で当選祝いなどで注文が入った。同店は「コロナでイベントが減り、開店祝いも少ない。コチョウランに限らず、減少している花の需要が高まれば」と期待する。