野党共闘、追い風に 衆院選、立民・共産意義を強調

 
「野党共闘」を掲げる立候補予定者の訴えに聞き入る陣営関係者

 19日に公示される衆院選では、立憲民主、共産両党の候補者が一本化され、初めて県内全ての小選挙区で「野党共闘」が実現する。衆院解散後の初の週末となった16日、各陣営は支持拡大に向け、街頭演説などの動きを活発化させた。

 各陣営の情勢を把握するため飛び回る立民県連幹事長の亀岡義尚は「有権者にシンプルな選択肢を提供することができた」と野党共闘の意義を強調する。自公による現政権に対する不満の受け皿となり、五つの小選挙区全てで勝利するとの青写真を描く。

 20代で選挙戦に挑む2区の立民新人の馬場雄基陣営は16日午後、郡山市で選対会議を開いて組織の結束を確認した。「20代による『福島の復興を見届ける』という言葉には強い説得力がある」と陣営幹部。若さと野党共闘という二つの刷新のイメージを追い風に選挙戦を戦い抜く構えだ。

 共産から唯一出馬する5区の新人熊谷智は、前回に続く2回目の挑戦。熊谷も「これまでの政権に不満を持つ有権者の受け皿となりたい」と、共闘の意義を強調する。16日は双葉郡で原発ゼロや処理水の海洋放出撤回などを訴えた。

 2、5区の候補者一本化が正式に固まったのは衆院解散前日の13日。それでも共産党県委員長の町田和史は「投開票まで2週間もあると思えば、これまで通りだ」と焦りはない。

 立民前職は着々と準備を進める。前回、県内で唯一、野党共闘で議席を獲得した1区の金子恵美は16日、出身地の伊達市に地区選対を設けた。社民支持者の姿もあり、結び付きの強さをうかがわせた。陣営は「確かな手応えを感じる」と小選挙区での連続当選を狙う。

 3区の玄葉光一郎は、党の重鎮だが、コロナ禍もあり他候補への応援を控え、地元活動に注力する。陣営幹部は「考えを直接伝える機会を増やす」とし、地盤のさらなる強化を狙う。

 前回、自民候補に僅差で敗れ、比例東北で復活した4区の小熊慎司陣営の幹部は「二大政党制の実現に向け、今回は小選挙区で勝ちきる」との決意で自民との一騎打ちに臨む。(敬称略)