「自民」対「野党共闘」か 福島小選挙区、衆院選10月19日公示

 

 第49回衆院選は19日、公示される。県内5小選挙区に自民党が前職5人、立憲民主党が前職3人と新人1人、共産党が新人1人の計10人を擁立する予定で、全ての選挙区で「自民」対「野党統一候補」による直接対決となる見通し。投票は31日に行われ、即日開票される。

 全選挙区で与野党候補の一騎打ちとなれば1996(平成8)年の小選挙区比例代表並立制導入以降初めて。1~4区は「自民」対「立民」、5区は「自民」対「共産」の構図となる。

 自民は全小選挙区での勝利を目指しており、岸田文雄首相が19日、福島市の土湯温泉で第一声を放つ。「新型コロナウイルス感染症を克服して県民の命と暮らしを守り、いかに新しい時代を切り開くかが問われる選挙」と西山尚利県連幹事長。野党共闘を受け、保守層や友好団体の支持固めに加え、無党派層への訴えを強める方針で、西山幹事長は「実績と未来を訴え、支持を伸ばしたい」と話す。

 立民は自公政権への不満の受け皿として、全員の当選を狙う。共産、社民県組織と交わした県版の政策合意も追い風に、処理水の海洋放出反対などを訴える。亀岡義尚幹事長は「各政党の良さを出しながら大同団結し、当選を目指す」と意気込む。共産は党として県内初の野党統一候補を5区に擁立。町田和史県委員長は「海洋放出に疑問を感じる全ての人に支持を訴えていく」と強調する。

 【1区】立民と自民の前職による3度目の対決。前々回は自民前職が勝利、前回は県内で唯一、野党共闘が実現した当時無所属の立民前職が雪辱した。他選挙区とは異なり前回に続く一騎打ちとなるだけに雌雄を決する激戦が見込まれる。

 【2区】共産新人が出馬を断念したことで、自民前職に野党統一候補として立民新人が挑む形になった。閣僚などを務めた9期目を目指す前職に対し、若さと刷新をアピールする新人が支持を拡大できるかどうかが焦点となりそうだ。

 【3区】10選を狙う立民前職と、前回比例復活を果たした自民前職による3度目の対決。支持基盤が安定する立民側は白河、須賀川、田村3市の浮動票を注視。自民側は若年層を中心に支持を広げるとともに、さらなる知名度向上を図る。

 【4区】自民前職と、前回選挙で敗れ比例で復活した立民前職による4度目の対決。前回は共産、社民を含めた4人の争いで、2人は1209票差の接戦だった。今回は野党共闘で一騎打ちとなり、両陣営ともに影響を注視している。

 【5区】閣僚経験のある自民前職に共産新人が挑む。8選を目指す自民前職の牙城を崩すための野党共闘の実現が焦点。処理水の海洋放出方針への反対を強調する共産と、争点化を回避し復興完遂を強調する自民の攻防も注目される。