【福島県小選挙区・候補者の横顔】衆院選、各地で舌戦本格化

 

 衆院選公示から一夜明けた20日、各地で舌戦が本格化した。県内5小選挙区に立候補した10候補は選挙区内で街頭演説などに臨み、有権者に政見や支持を訴えた。県民は震災、原発事故からの復興、新型コロナウイルス対策など、山積する課題の解決に向けた1票を誰に託すのか。候補者たちの「横顔」を紹介する。(上から下へ届け出順。山括弧の数字は当選回数、敬称略)

 ◆1区(立候補2)

 【金子 恵美 56 立 前〈2〉】 吟じて学ぶ地域の歴史

 「自分は『地域活動家』。政治家とは呼びたくない」。本当に困っている人の声を聞き、政策に反映させたいとの思いを強く持つ。無所属となった時期もあったが「どういう政党が今の日本に必要か議論できた」と前向きに振り返る。
 衆院初当選後に始めた詩吟も上達。魅力は詩に詠まれた地域の歴史や先人の思いを学べることというが「声の出し方は政治活動で培ったのかも」。政治の道を志すきっかけでもあり、「今では後援会の"ナンバーワン"」という障害を持つ妹との触れ合いが、リフレッシュのひとときだ。

 【亀岡 偉民 66 自 前〈4〉】 私心捨て尽くす「球児」

 私心を捨てて尽くす「無私情熱」を座右の銘とする。養父で建設、農水両相を務めた故亀岡高夫氏の思いを継いで政治を志し、2005(平成17)年の衆院選で初当選。震災、原発事故発生時は議員の「バッジ」がない中、被災者支援や復旧活動に当たった。12年に当選後は復興政務官、4期目は復興、文部科学の両副大臣を務め相馬福島道路の開通や復興五輪の発信、コロナ対応などに尽力した。
 作新学院高(栃木県)時代は元巨人投手の江川卓氏とバッテリーを組み、甲子園で活躍。母校早大野球部でも助監督を務めた。

 ◆2区(立候補2)

 【馬場 雄基 29 立 新】 帰郷後は温泉巡り趣味

 「地盤(支援組織)看板(知名度)かばん(資金)のどれも持っていない。そんな自分だからこそ、一人一人の力で社会は動かせると証明したい」と語る。
 政治を志した原点は東日本大震災。神戸市での銀行員時代にボランティアで島根県を訪れ、浜通りからの避難を機に笑わなくなった少年と出会った。「震災から5年が過ぎていた。日本はこのままで良いのか」。銀行を辞め、古里の再生に寄り添うことを決めた。
 帰郷後、妻菜里さんとの温泉巡りが趣味となった。「選挙が終わればまたゆっくり入りたい」と笑った。

 【根本  匠 70 自 前〈8〉】 ライフワークは「復興」

 復興相や厚生労働相を歴任し、9月の党総裁選では派閥の事務総長として岸田文雄総裁誕生の立役者となった。「復興が自分のライフワークだ」と言い切り、円熟の域に入っても変わらぬ地元愛が政治活動の原動力となっている。
 政策通として知られ「政策本位の政治」を一貫して重視してきた。「政策を磨き、責任を持って実行し、国民の信頼を得ることが政治の役割」と強調する。
 趣味は運動だが、多忙で時間を割けないのがジレンマだ。「趣味が仕事になったら良くないと思っているんだけど」とはにかんだ。

 ◆3区(立候補2)

 【上杉謙太郎 46 自 前〈1〉】 「自分に正直」貫く剣士

 「浪人生活」を経ての初当選から4年間、東日本台風からの復旧や国道4号の4車線化、農水、教育などの分野で力を尽くし、岸田内閣で外務政務官に。常に大切にしてきたのは「自分に正直な人間であること」。自分と約束した地元でのつじ立ちも、当選翌日から毎朝、愚直に続けている。
 政治史が好きで、小学生の時に政治家を志した。約10年間秘書を務めた荒井広幸元参院議員の教えが、現在の政治活動の基になっている。多忙な合間を縫い、4人の子どもと遊んだり、剣道の稽古をしたりするのが貴重なひとときだ

 【玄葉光一郎 57 立 前〈9〉】 書道息抜き徐々に上達

 「新型コロナウイルス感染症や台風19号で地元は大変な思いをした。いざというときに住民を守るのが国会議員の役割と再認識した」と10選への決意を語る。
 松下政経塾に入り、「自分の能力を尽くす生涯にしたい」と政治家を志した。これまでの選挙戦では、全国の候補者の応援演説をすることが多かったが今回は地元入りが増える見通しだ。「節目の選挙。思いを込めたい」と意欲を燃やす。
 息抜きは週1回のジム通いと書道。色紙を求められた際には、徐々に上達してきた字で「感謝」と書くことが多いという。

 ◆4区(立候補2)

 【小熊 慎司 53 立 前〈3〉】 ツーリングで地元発見

 政治家としての原動力は「愛」と言い切り「愛する地域が幸せになる仕組みをつくりたい」と意気込む。
 趣味は料理、映画、手品など多彩。「愛の反対は無関心だから、関心が多い」と笑う。最近のお気に入りは2年前に始めたツーリング。「バイクは風や温度、匂いなどを感じられる。初めて会津を走った時に、車で通った時とは違った地元の良さを発見できた」とその魅力を語る。
 衆院議員会館の部屋番号「808」は、妻則子さん(53)の誕生日である8月8日にちなんで選んだという愛妻家の一面も。

 【菅家 一郎 66 自 前〈3〉】 五輪で「卓球熱」が再燃

 ストレス解消は運動。新型コロナによるステイホーム期間中、室内に自転車型運動器具を持ち込みひたすらペダルをこいだ。「1時間ぐらい汗を流すと体の調子が良くなってきますね」
 高校時代はボートクラブ、県議時代はスポーツジムでスイミングをたしなんだ。中学時代は卓球部。東京五輪での日本代表の活躍を見て「卓球熱が再燃した」と目を輝かせる。
 前回選挙では「勝ち虫だから」と知り合いにもらった手作りのトンボのブローチを身に着け、勝ち抜いた。今回も神棚からブローチを取り出し、決戦に挑む。

 ◆5区(立候補2)

 【熊谷  智 42 共 新】 コーヒーこだわり一杯

 「8年間の自公政権に不満を持つ方の受け皿になりたい」と語気を強める。脱原発、原発処理水の海洋放出の撤回のほか、「命を守る政治」として医療体制の改革などを掲げる。
 政治家を志したきっかけは、西会津町で共産党員だった祖父から陸上特攻隊としての戦争体験を聞いたこと。「二度と戦争しないよう、憲法を守りたい」
 休日はこだわりのコーヒーを味わいながら、趣味の映画観賞を楽しむ。コーヒーは豆の種類だけではなく、「豆をひく時間や入れ方などでもおいしさが変わる」と笑みがこぼれる。

 【吉野 正芳 73 自 前〈7〉】 堤防の散歩で健康増進

 「東日本大震災からの復興と創生は私の天命。浜通りに国際教育研究拠点をつくり、復興をさらに進めたい」と決意を語る。
 震災から10年が経過したが「今だからこそ復興への大切な仕事がたくさんある」と断言する。「初心忘るべからず」を座右の銘に、生まれ育った古里の発展を思い続ける。
 趣味は読書。長期にわたる政治家生活で大切にしていることは「健康」だ。毎朝のように自宅付近の堤防を散歩して体力をつけている。本県沖で取れた「常磐もの」を食べることも健康の秘訣(ひけつ)という。