【衆院選・有権者のまなざし】若者/コロナ対策、学生の声を

 
キャンパスを歩く福大Voteプロジェクトの(右から)藤井さん、宮木さん、佐藤実結さんの3人。現在はにぎやかなキャンパスに戻ったが、昨年は孤独な生活を強いられた

 「もう、ここにはいたくない」。新型コロナウイルスの感染が国内で徐々に拡大していた昨年度前半、福島大行政政策学類3年の藤井美佑(みゆ)さん(21)は、8・5畳のワンルームで耐え難い孤独感にさいなまれていた。

 授業は画面

 感染拡大を受けて大学は昨年5月から、インターネットを介した遠隔授業に全面的に移行した。独り暮らしする大学近くのアパートで、画面と向き合い授業を受ける生活。友達とも全く会えなくなった。我慢できず、白河市の実家に戻り、そこから授業を受けた。

 政治の世界で飲食店や観光業に対する支援の必要性が声高に叫ばれていた当時、藤井さんは学生の支援についても議論してほしいと感じていたという。「大学生にも目を向けてほしいと思った」

 現在は対面授業が基本となり、キャンパスには学生のにぎやかな声が戻った。しかし厳しい制限の中で過ごした学生生活の時間が戻ることはない。「時間のある学生のうちに、遠くに旅行に行きたかった」。その望みが残りの学生生活でかなうかどうかは不透明だ。

 コロナ禍で大学生が受けた影響は多岐にわたった。福島大行政政策学類3年の宮木結香(みやきゆいか)さん(21)は1月、成人式が通常通り開催されなかったことに大きなショックを受けた。「地元福島市の会場で、久しぶりに友達に会うのを楽しみにしていたのに」。代表者が出席する様子が放映されるだけのオンラインの式は、視聴しなかった。

 考えの変化

 「私にとってコロナ禍は直接降りかかった災害。向き合わざるを得なかった」。宮木さんは、危機的状況に置かれたことで社会や政治への向き合い方が変わったと言う。「以前は『どうせ選挙に行っても変わらない』と無気力に考えていたが、変えられるかどうか分からなくても意思を示さなければ、自分たちの声は聞いてもらえないと気付いた」

 宮木さんや藤井さんは現在、同世代に選挙啓発などを行う「福大Voteプロジェクト」のメンバーとして活動する。選挙啓発のためのスマートフォンアプリの開発などに関わっている。

 今後また「波」が押し寄せ、再び制限された生活を余儀なくされるかもしれない。宮木さんは、コロナ対策に若者の声を反映させてほしいと考える。「若者の声を聞いてもらうためにまずは自分たちの行動が必要。選挙には行かなければならない」(須田絢一)

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 20代の投票率、全年代で最低 国政選挙では2016(平成28)年の参院選以降、選挙権年齢が18歳に引き下げられた。県選管によると、17年に行われた前回衆院選の18歳の県内投票率は49.97%、19歳は27.96%だった。その後に行われた18年の知事選、19年の参院選と県議選でも18歳の投票率は30%を超えた。ただ19歳はいずれの選挙でも投票率が落ち込んだ。全年代のうち最も投票率が低かったのは20代だった。