【衆院選・最前線ルポ】4区/激戦、初の一騎打ち 前回編入の西郷に重点

 

 県内五つの小選挙区全てで「自民」対「野党統一候補」の構図となった第49回衆院選。新型コロナウイルス感染症への対応や東日本大震災、東京電力福島第1原発事故から10年が過ぎた復興の在り方など、各陣営が舌戦を展開する「超短期決戦」の最前線を追った。(一部敬称略)

 過去3回、激戦を繰り広げた立憲民主党の小熊慎司と自民党の菅家一郎。4回目は初の一騎打ちとなる。両陣営は22日、都市部を離れ木々が色づき始めた南会津地方の山あいで選挙カーを走らせ、西郷村にも入り支持拡大を図った。

 小熊は公示後、地元の喜多方市などを巡り、二大政党制の実現とともにコメ余りによる米価下落対策を強調してきた。菅家は出身の会津若松市などで地域医療の充実・強化やコロナ禍で大きな打撃を受けた産業回復への支援を訴える。

 両陣営とも重点に据える西郷村は前回の衆院選から4区に編入された。会津若松市、喜多方市、会津美里町に次ぐ票田だけに票の行方に気をもむ。「コロナ対策も地域活性化も、実行力のある人にやってほしい」。同村の商業施設を訪れた60代女性は白い息を吐きながらつぶやいた。

 「共闘で対等な戦い」

 「野党共闘が実現し、初めて対等な立場での戦いになる」。小熊の選対本部幹部は今回の選挙戦をこう表現した。他党の支援を武器に、前回苦杯をなめた小選挙区での当選を期する。ただ、不安がないわけではない。選対関係者は「全国で野党共闘の流れはあるが、ここではどうか」と票の行方を読み切れないでいる。

 壁一面に「必勝」を祈念する推薦状で埋められた小熊陣営の事務所。一角には絶大な支持を誇った故渡部恒三氏と笑顔で握手する小熊の写真が飾られている。「小熊は恒三先生の後継者だ」。陣営幹部は言い放った。恒三氏から引き継いだ地盤を固め勝利を目指す。

 自民の組織力で対抗

 菅家陣営は「不利な状況からのスタート」との認識だ。前回は共産、社民両党が候補者を擁立し、計約1万8千票を獲得した。「社民と共産がとった票はそのまま立民に流れると想定している」と表情は険しい。支援者が頻繁に出入りし電話が鳴り続ける選対事務所は緊張感に包まれている。

 陣営は、野党共闘に対して自民の強みである「組織力」で対抗する構えだ。前回「野党有利」と目されていた西郷村では、後援会組織が機能し、得票数で肉薄した。菅家は当選後、月に1回の会合を村内で続けてきただけに、陣営は「地道な活動が票に表れる」と期待を込めた。