【衆院選・最前線ルポ】1区/情勢拮抗...3度目激突、意地火花

 

 福島1区は県内で唯一、前回に続いての与野党候補の一騎打ちとなった。立憲民主党県連代表の金子恵美、自民党で復興、文部科学両副大臣を務めた亀岡偉民による対決は、これまで1勝1敗。3度目の激突では、両者一歩も引かないつばぜり合いが続いている。

一本化の意義を強調 個人演説会を開かず「青空集会」として連日10カ所前後の街頭演説を重ねる金子。共闘する共産、社民の関係者も集い、自公政権の新型コロナウイルス対応や経済政策への批判を強める。陣営も「今の政治に『イエスかノーか』を突き付ける分かりやすい選択肢を示すことができた」と、県内全選挙区で野党候補を一本化した意義を強調する。

 ただ、足元には不安もくすぶる。無所属で出馬した前回は、野党票に加え保守層の一部からも支持を得た。今回は立民県連代表としての選挙戦となり、陣営内には保守層の支持離れを危ぶむ声もある。だが、選対本部長の亀岡義尚は「野党一本化の候補で臨む国政選挙は参院選も含め4度目。違和感なく反政権票の受け皿になり得る」と自信をのぞかせる。選対は前回得票数を当選ラインと捉え、組織の引き締めと無党派層への広がりを図る。

 党本部の「最重点区」

 「今が追い付けるか、離されるかの瀬戸際だ」。福島市の国道4号沿いに構えた亀岡の選挙事務所に、陣営幹部のげきが飛ぶ。24日も県議や市議らが慌ただしく出入りした。

 1万3150票差で苦杯をなめた前回は、県内選挙区で唯一実現した「野党共闘」の威力をまざまざと見せつけられた。今回は100超の後援会や友好団体による組織戦を展開、連日50~100人規模の個人演説会を複数回開いて実績を訴え、士気を高める。党本部も「最重点区」と位置付けて情勢を注視し、岸田文雄首相が福島市で第一声を放った後も、閣僚クラスの応援が相次いでいる。

 選対は13万票獲得を目標に「眠っている保守層」や無党派層の掘り起こしに躍起だ。本部長の西山尚利は「難局に責任を果たせるのは自公政権だ。野合(の野党勢力)に任せるわけにはいかない」と語気を強める。

 最大の票田、遊説展開

 「今回は本当に厳しい戦いになる」「相手候補を捉えるまであと一歩のところに来た」。選挙期間中、唯一の日曜日の24日、各候補はいずれも最大の票田・福島市で遊説を展開した。拮抗(きっこう)する情勢から抜け出すのはどちらか。両陣営の意地が火花を散らす。(敬称略)