【衆院選・最前線ルポ】2区/最年少対首相側近...プライド激突

 

 小選挙区制導入後、初の一騎打ちとなった福島2区。県内候補者で最年少となる立憲民主党新人の馬場雄基が、9選を目指す自民党前職の根本匠に挑む構図だ。若さと野党共闘を追い風に刷新のイメージを打ち出す馬場に対し、閣僚経験者の根本は実績を猛アピールする。政権の批判票の受け皿を目指す若手と、政策通でならすベテランのプライドがぶつかり合う。

 選挙戦が終盤に入った27日、馬場は郡山市の市街地を中心に選挙カーを走らせた。「株価が上がっても実感はなく、賃金に反映されていない。一人一人の力でこうした社会の矛盾をなくしていく必要がある」。陣営が1日20回を目標とする街頭演説では、政党色を前面に出すことよりも市民の共感につながる言葉選びを重視する。野党共闘の反動で懸念される保守層の支持離れを防ぐ狙いだ。

 1000回数えた街頭演説

 馬場は立候補を表明した6月から市内を自転車で回り、公示まで約1000回を数えた街頭演説で市民目線を訴えてきた。選対事務所には立民、共産、社民各党の関係者が出入りし、浸透を図っている。23日の総決起大会では各組織に加え、馬場を推薦する連合福島の代表が登壇して一体感を打ち出した。選対本部長の佐久間俊男は「野党一体で最後まで戦い抜き、必ず議席を獲得する」と総力戦を仕掛ける。

 政策磨き合った同志

 「岸田首相とは政策を磨き合った同志だ。真の復興を成し遂げ、福島から日本を動かす」。27日に郡山市西部を巡った根本は、自身が派閥の事務総長を務める岸田氏との距離の近さを強調した。2月の本県沖地震で被災した企業へのグループ補助金の適用など実績に加え「首相との関係性は何よりも強い材料だ」(選対幹部)。連日十数回に及ぶ街頭演説で票の掘り起こしに余念がない。

 陣営は500を超える後援会組織をフル稼働して支持固めを図るほか、票の上滑りを警戒して企業や団体の幹部と小まめに連絡を取り、投票を呼び掛けている。背景には、政権交代を許した2009(平成21)年の衆院選で苦杯をなめた経験がある。郡山選対本部長の山田平四郎は「根本候補がいなければ福島は回らない。一切の緩みなく、圧勝で国会に送り出すのが陣営の役目だ」と言い切る。

 最終日まで票上積み

 両陣営は有権者の約8割を占める郡山市の無党派層が勝敗を分けるとみており、選挙戦最終日まで重点的に票の上積みを図る構えだ。(敬称略)