福島県内小選挙区で立民3議席「野党共闘の成果」

 
感染対策しながら開票作業を進める職員ら=31日午後9時25分ごろ、福島市の福島トヨタクラウンアリーナ

 【解説】県内で初めて、全ての小選挙区が「自民」対「野党統一候補」による一騎打ちとなった第49回衆院選。自民、野党両陣営とも「3勝2敗」を事実上の勝敗ラインとみる中での戦いは、立憲民主党の前職3人が小選挙区を制した野党に軍配が上がる形となった。

 政権与党である自民は小選挙区比例代表並立制が導入された1996(平成8)年以降、県内でも民主党が全ての小選挙区を制し政権交代が実現した2009年の第45回衆院選を除けば、常に3~4の小選挙区で勝利してきた。全ての選挙区に前職を擁しながら野党共闘に敗北を喫した事実は、県民の国政への不満の表れともいえる。

 一方、立民、共産を中心に全国で進められた野党共闘は、県内では大きな効果をもたらした。実績を重ねてきた3区と、前回衆院選で県内唯一の野党統一候補として勝利した1区に加え、4度目の対決で初の一騎打ちとなった4区も制した。4区は前回、共産、社民も候補者を擁立した中で自民が勝利しただけに、まさに共闘の成果だろう。

 新型コロナウイルス下で初の大型国政選挙となった今回の衆院選。大規模な集会を見合わせたり、会員制交流サイト(SNS)の活用を活発にしたりと、各陣営とも従来とは異なる戦いを余儀なくされた。野党共闘も相まって、将来的に振り返れば、新たな選挙戦への転換点と評価されるのかもしれない。

 新型コロナという最大の争点に、与野党対決という分かりやすい構図となった一方、各党の主張の中で東日本大震災、東京電力福島第1原発事故から10年が過ぎた本県復興の位置付けが大きかったとはいえない。本年度から第2期復興・創生期間に入ったが、各候補が選挙期間中に口をそろえたように、本県の復興はまだ道半ば。県民の声、思いを届け、国政に反映させるのが、県民の負託を受けた当選者の責務だ。(報道部・飯沢賢一)

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