【衆院選・記者座談会】「野党共闘」一定の効果 福島県選挙戦

 
激戦となった衆院選。小選挙区と比例東北を合わせ本県から計9人が当選した=10月31日、いわき市総合体育館

 自民党が追加公認を含めて絶対安定多数を確保する一方、全国的には立憲民主党や共産党といった野党共闘は伸び悩んだ第49回衆院選。県内では小選挙区、比例東北合わせて9人が当選した県内での戦いを担当記者が振り返った。

  県内の5小選挙区は、立民が3勝、自民が2勝という結果だった。自民が一定の議席を確保し、野党共闘が苦しんだ全国とは異なる傾向が表れたが、県内はどのような選挙戦だったと言えるのか。

  自民は2勝にとどまったが、小選挙区で敗れた3人も比例東北で復活当選し、公示前の5議席を確保した。野党が全選挙区で候補者を一本化し「共闘」を訴える中、各社の世論調査では厳しい結果が出ていただけに、最終盤で巻き返したとみている。

  2、5区の重鎮がしっかり結果を出した一方、巻き返しという意味では、前回小選挙区で敗れた1、3区での自民の力の入れようはすごかった。岸田文雄首相が福島市で第一声を放ったのに加え、安倍晋三元首相や総裁選に出馬した河野太郎広報本部長、高市早苗政調会長らが応援に入るなど、浮動票の掘り起こしに躍起だった。どちらも前回より差を縮め、毎回接戦の1区はもちろん、これまで「午後8時当確」が続いていた3区でも、各社の当落判断が随分遅れた。

  全国的に「野党共闘」は伸び悩む結果だった。ただ県内では勝ち越しを果たし、一定の効果があったと思うが。

  最終的に全選挙区での一本化が決まったのは解散直前。それでも前回自民が勝利した4区で立民が雪辱し、2区では立民新人が比例東北で復活当選を果たした。立民県連幹部は「3勝・1復活」という青写真を描いていたが、その通りの結果が出たのは「共闘」の成果だろう。

  5区の共産候補の得票は、5万5000票余りだった。連合福島が自主投票としたこともあり、前回の野党系候補3人の合計には2万票弱、及ばなかった。その意味では、効果は限定的だったのかも。

  共闘といっても、簡単に「1+1=2」にはならないようだね。

  それは他の選挙区にも言えることだ。前回も共闘が実現した1区と、初の共闘となった3区は前回より得票を減らしたし、4区は前回の野党票を考えれば、もう少し差をつけて勝ってもおかしくはなかった。「共闘」と「野合」は有権者にとって、紙一重なのかもしれない。

  衆院選はこういう結果になったが、来年には参院選、そして知事選も控えている。

  参院選については各党ともこれから、候補者選考が本格化するだろう。改選議員は野党統一候補として当選しながらも、自民会派入りした無所属議員。各党とも候補者擁立を目指すことになる。

  野党は参院選でも共闘するはずだ。知事選については、まずは内堀雅雄知事が3期目を目指すのかが、当面の焦点だね。

  その先になるであろう次の衆院選は、県内小選挙区の定数が「1減」となる見通しで、衆院選挙区画定審議会が新しい区割りを来年6月までにまとめる方針だ。当選者には、今回の選挙戦で得た有権者、県民の声や思いを最大限に生かして国政の場に反映させてほしい。選挙区がどうなろうとも、県民はその取り組みをきっと見ているはずだ。