【衆院選・データ分析】自民5死守、立民1増 福島県9人当選

 

 自民党が、国会運営を主導できる絶対安定多数(261議席)を確保した第49回衆院選。県内は5小選挙区で「自民」対「野党」の直接対決が実現、自民が2議席、立憲民主が3議席を獲得した。比例東北では重複立候補した自民3人、立民1人がそれぞれ復活当選し、本県の衆院議員数は自民5、立民4の計9人。小選挙区比例代表並立制が導入されて以降、2005、12年と並び最多タイとなった。県内の戦いをデータで分析する。

 最多並ぶ9議員当選

 【自民対野党共闘】自民はベテランの前職2人が議席を守り抜いた一方、残る三つの小選挙区では野党共闘のあおりを受けて「3敗」。それでも前職3人は80~90%台と高い惜敗率で比例復活当選を果たし、前回と同様、5小選挙区の立候補者全員が議席を維持した。

 対する野党は全選挙区で共闘を実現。1~4区に統一候補を擁立した立民は1、3、4区で前職3人が自民前職の追撃をかわして議席を獲得、2区は新人が比例復活で初当選した。擁立した全候補者が当選し、公示前勢力の3議席から1議席を上乗せした。

 県内5小選挙区と比例東北で当選した本県関係9人の平均年齢は57.3歳となり、前回(8人)の56.9歳と比べて0.4歳上がった。また小選挙区で当選した5人の平均年齢は61.8歳で、前回の60.4歳から1.4歳上がった。

 金子氏、最多12万3620票 亀岡、根本両氏も10万票超

 【候補者得票】県内5小選挙区に立候補した10人の中で、最も得票が多かった候補者は2017(平成29)年の前回に続き、福島1区で立民の金子恵美氏だった。前回より3044票減らしたが、地元伊達市や福島市で自民の亀岡偉民氏を上回り、12万3620票を獲得した。

 このほか10万票を上回ったのは、1区で落選し比例復活した亀岡氏と、2区の根本匠氏。前回からそれぞれ4560票、5746票上積みの11万8074票と、10万2638票だった。

 前回野党系3人が立候補した2区で、統一候補として擁立された立民新人の馬場雄基氏は、根本氏に1万7137票及ばない8万5501票だったが、惜敗率は83.3%で比例復活した。

 3区で立民の玄葉光一郎氏は9万457票と前回と同様の9万票台を維持したが、2473票減らした。自民の上杉謙太郎氏は前回から1万6296票伸ばす7万6302票で、比例復活を決めた。

 初の一騎打ちとなった4区は、前回同様の接戦となった。立民の小熊慎司氏は9610票増の7万6683票、自民の菅家一郎氏は5502票増の7万3784票とそれぞれ積み増しに成功した。大票田の会津若松市や喜多方市で上回った小熊氏が、1209票差で敗れた前回の雪辱を果たした。

 5区は、自民の吉野正芳氏が9万3325票を獲得し、前回より6864票伸ばした。野党統一候補として唯一共産から擁立された熊谷智氏は、前回の3倍強となる5万5619票だった。

 若年層は自民、高齢層は立民 1区と4区

 【出口調査の各区分析】近年まれに見る接戦が相次いだ県内選挙区。共同通信社が実施した出口調査から、各区の状況について分析した。

 2899票差の激戦となった4区は、小熊慎司氏が菅家一郎氏に雪辱を果たした。小熊氏は立民支持層の9割超、共産支持層の8割超を固めたほか、他の野党支持層からも6割以上の支持を集めるなど「野党共闘」をまとめ上げた。菅家氏は自民、公明支持層の7割前後から支持を得たが、わずかに届かなかった。

 前回同様、一騎打ちとなった1区は、出口調査でもほぼ横一線の様相だった。金子恵美氏は立民、共産、社民支持層の9割前後を固め、亀岡偉民氏も自民支持層の約8割、公明支持層の7割超の支持を受けた。ただ、無党派層は6割超が金子氏を支持、亀岡氏は3割超。他の野党からも支持を得た金子氏が競り勝った。

 激戦となった両区では、年代別の支持傾向がくっきりと表れた。勝利した立民の金子、小熊両氏は対立候補を上回ったのは50代以上で、自民の亀岡、菅家両氏は40代以下で立民の2人を上回った。若年層が自民、比較的高齢層は立民を支持した形だ。

 1、4区と同じく前職同士が争った3区。玄葉光一郎氏が立民、共産支持層の9割前後から支持を受けたほか、他の野党や公明、自民支持層にも浸透。上杉氏は自民支持層の7割強、公明支持層の約6割を固めて、比例復活につなげた。

 2区は、根本匠氏が自民支持層の8割超、公明支持層の7割弱をまとめて逃げ切ったが、馬場雄基氏も立民支持層の約9割、共産支持層の9割弱を固めたほか、無党派層から7割を超える支持を得て、初挑戦での比例復活を果たした。

 5区は吉野正芳氏が自民支持層の9割強、公明支持層の8割弱をまとめ、野党支持層にも浸透。熊谷智氏は共産支持層をほぼ固め、立民支持層の8割弱にも支持を得たが、及ばなかった。

 全体で58.01%、5区48%

 【小選挙区投票率】県選管によると、県内5小選挙区の投票率は58.01%(男性58.14%、女性57.88%)で、戦後2番目に低かった前回を1.32ポイント上回った。

 投票率50%台は、2012(平成24)年の第46回衆院選から4回連続。全国平均の55.93%と比べると2.08ポイント高かった。

 選挙区別では、1区60.61%(前回比2.17ポイント増)、2区55.06%(同1.73ポイント増)、3区64.05%(同3.09ポイント増)、4区64.68%(同1.56ポイント増)、5区48.00%(同1.73ポイント減)となった。

 福島、郡山、いわき、会津若松の主要4市をみると、福島市58.78%(同1.42ポイント増)、郡山市53.18%(同1.81ポイント増)、会津若松市60.18%(同1.25ポイント増)といずれも増加したが、いわき市は47.88%と前回から1.74ポイント下回った。

 59市町村のうち、投票率が最も高かったのは檜枝岐村の86.00%で、最も低かったのは浪江町の44.24%だった。

 県内全市町村で自民最多

 【比例得票】比例東北の県内の政党得票で最も多かったのは自民党の33万3644票で、前回から5万1566票上乗せ、59市町村全てで他の政党を上回った。小選挙区では、立憲民主党候補が自民候補を上回る市町村があったが、比例では自民に軍配が上がった形だ。

 東北で4議席を確保した立民は県内で22万6770票を集め、支持の広がりを見せた。

 東北1議席を維持した公明党は県内で9万8852票を獲得。同様に1議席を維持した共産党は県内で6万3495票と前回より5633票減らした。日本維新の会は1万7838票増やす4万6815票。東北で1議席を確保した。

 得票率は、自民が37.88%(前回比6.18ポイント増)、立民は25.74%、公明は11.22%(同0.1ポイント減)、共産は7.21%(同0.56ポイント減)、維新は5.31%(同2.05ポイント増)、国民は5.22%、れいわ新選組は3.82%、社民は2.30%(同0.95ポイント減)だった。