福島県関係衆院議員が初登院 特別国会召集、復興へ気を引き締め

 

 特別国会が召集された10日、本県関係衆院議員9人が初登院した。全員が議席を維持した自民党の5議員は与党の立場で国会運営に責任を果たすため気を引き締める一方、新人1人を仲間に加えた立憲民主党の4議員はチェック機能を強め、緊張感のある政治の実現へ決意を新たにした。

 東日本大震災と東京電力福島第1原発事故から間もなく10年8カ月となるこの日、初登院した自民党の議員は、福島・国際研究産業都市(イノベーション・コースト)構想の促進と、国際教育研究拠点の整備を重点に置く。首相側近の根本匠元厚生労働相(福島2区)は「ロボットやエネルギー、医療機器、農業を含め新たな産業を興す」と政権中枢を動かして実現を加速させる考えを示した。

 吉野正芳元復興相(福島5区)も「国際教育研究拠点を双葉郡に」と力を込める。第1原発の処理水の海洋放出方針を巡り「(放出までの)2年間に必ず合意ができる」と見通す。選挙期間中に足を骨折したため車いすでの登院となり、議員会館で取材に応じた。ただ「歩くのには不自由だが、議員活動に支障はない」と明言。治療をしながら職責を果たす考えだ。

 「復興が進んだとの認識に危機感を持っている」。菅家一郎議員(比例東北)は震災10年を新たな出発点とし「廃炉や処理水などの課題解決は国家の責任だ」と訴えた。復興担当の党総裁特別補佐と副幹事長に就いた亀岡偉民議員(比例東北)は「副大臣の経験から風評対策や産業創出など、やるべきことは見えている。国際教育研究拠点は必ず実現させる」と意気込んだ。

 外務政務官を留任する見通しの上杉謙太郎議員(比例東北)は本格始動に当たり「県産農林水産物の輸出を進める。その前提として輸入規制の撤廃が必要だ」と強調。14カ国・地域で続く食品の輸入規制の撤廃へ外交交渉に臨む考えだ。

 対する立憲民主党の議員は、復興政策に是々非々の立場で切り込む構えだ。県連代表の金子恵美議員(福島1区)は処理水の海洋放出方針を巡り「地元の理解なしに方針を決めたのは間違い。一度撤回して再検討すべきだ」と述べ、政府を追及する姿勢を強調した。

 小熊慎司議員(福島4区)は「問題が絶えない東電任せにせず、廃炉を進めることが大事だ。廃炉の定義や責任の所在、工程を明確にするための法整備に尽力したい」と語り、超党派で取り組むべきだと指摘した。

 一方、10選を果たした党副代表の玄葉光一郎元外相(福島3区)は衆院選挙区の見直しに触れ「次の衆院選は区割りが変わるため、感謝の思いを込めて任期を全うする。地元を全力で守り抜く」と語気を強めた。

 最年少の29歳で初当選した馬場雄基議員(比例東北)は「時代の変化の中で取り残されてしまったゆがみの大きさを選挙戦で感じた。現場の涙を克服できる政治を目指す」と述べ、現場主義を貫く考えを示した。