2強時代が到来...死闘、ファン熱い声援 天皇杯サッカー福島県予選

 
【福島ユナイテッドFC―いわきFC】試合終了後、健闘をたたえ合う両チームの選手たち=会津若松市・あいづ陸上競技場

 県サッカー史に残る大接戦となった21日の第21回県選手権大会・第96回天皇杯全日本選手権県代表決定戦決勝。9連覇を狙う福島ユナイテッドFC(J3)と初優勝を目指すいわきFC(県社会人リーグ2部)の戦いは、国内サッカーの最高峰J1を目指す両クラブの意地がぶつかる一戦になった。将来のJリーグで県勢同士が戦う「福島ダービー」の第一歩となる試合に2000人を超す県内サッカーファンが熱い声援を送った。

 ゲームは、後半終了間際にいわきFCが同点に追い付き延長までもつれ込んだが、最後は経験で勝る福島ユナイテッドが激戦をものにした。

 両チーム死力を尽くした激闘をスタンドでは、プロサッカー選手を夢見る多くのサッカー少年たちが見守った。

 森合SSS(福島)の橘内斗希人君(12)は「最初は福島ユナイテッドを応援していたけれど、いわきFCが同点に追い付いてすごくいい試合だった」、城西SSS(会津若松)の鈴木汰空斗君(11)は「暑い中、120分も走り続けて迫力があった」と目を輝かせた。福島ユナイテッドサポーターの草野貴也さん(39)は「相互に県内サッカー界を盛り上げ、プロサッカー選手になる子どもたちの夢を福島で実現できるようになれば」と両チームが競い合うことで本県サッカーのレベルアップが図られることに期待した。

 本県サッカー界をリードする両クラブの激闘に関係者も胸を熱くした。いわきFCを運営する「いわきスポーツクラブ」の大倉智社長は「本県サッカー界に新たな歴史の一ページを開くことができた」と初対戦の内容を評価し、次戦への雪辱を期した。

 1993(平成5)年に開幕したJリーグ。県内で初めて参入を目標に掲げた福島FCが97年に解散してから20年余りが過ぎ、福島ユナイテッドはJリーグへの道を切り開き、いわきFCの台頭で2強時代が到来した。先にJ1に参入するのはどちらか。両クラブの躍進に目が離せない。